fc2ブログ

記事一覧

八五郎坊主の鶏頭

上方落語に「八五郎坊主」という秋のネタがあります。
特に桂枝雀師匠の「八五郎坊主」は、笑いが多いだけでなく、音の描写、風の描写など、大好きです。
でも、1箇所だけ腑に落ちないところがあります。

IMG_5797.jpg

それは、八五郎が下寺町のずく念寺さんにやって来る場面です。
『大ぉきなイチョウの木がございます。尊いお寺は御門からと申しまして、立派な御門を内らへ入りますというと、片方(かたえ)には釣鐘堂、板石が敷き詰めてございまして石畳、左右にはケイトウの花が真っ赤に咲いております・・・』というくだりがあります。

IMG_5793.jpg

枝雀師匠は「黄色」とはひとことも言っていないのですが、私は勝手にイチョウの黄葉を想像し、真っ赤なケイトウ(鶏頭)の花とのみごとな色彩描写に感心しながら・・・ん?
季節はいつだ?・・・なんて考えてしまいます。
私のイメージではイチョウの黄葉はかなり冬に近い晩秋、ケイトウの花は真夏~初秋です。
後半には『十月の乾いた風が・・・』という表現も出てきます。
10月ならイチョウはまだ黄葉していないし、ケイトウの花は盛りを過ぎています。
なぜ、枝雀師匠がここでケイトウの花を出してきたのでしょう? いまだに謎です。

IMG_5795_202009171822049ca.jpg

あまりアップで見ることがありませんが、ケイトウの花はたくさんの小さな花の集まりです。
1つの花は、花びら5枚、雌しべ1本、雄しべ5本。熱帯アジア原産の植物です。
奈良時代に日本に渡来したそうなので、古典落語に登場しても、その点はおかしくはありません。

1日1回、↓ポチッとお願いします。大変励みになっています。


植物・花ランキング
このブログの写真の無断使用をお断りします。

関連記事
スポンサーサイト



コメント

Re: No title

>河太朗さん ありがとうございます。ご無沙汰しております。
そうですか?『九月の乾いた風』でしたか? それならケイトウはOKですね。
冒頭の甚兵衛はんとの季節の挨拶も納得です。
でも、剃った頭に風が心地よく感じられるのはもう少し秋が深まってからのほうがいいですよね^^

No title

私も少々気になってました。
枝雀師の若いころの八五郎坊主は『九月の乾いた風』でやってはりました。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

いらっしゃい!

ご訪問、ありがとうございます。