切り離される花
- 2020/07/25
- 21:00
細胞の内容物がゆっくりと流れるように動いている現象を「原形質流動」といいます。
それを観察するのにいい材料がオオカナダモ(大カナダ藻)やコカナダモ(小カナダ藻)です。
葉っぱが2層の細胞でできているので観察しやすいのです。
顕微鏡観察で葉緑体がゆっくり動いているのが見られます。出石城の下を流れる谷山川にはコカナダモが繁茂しています。名前の通り北米原産の外来種です。
ここはコカナダモが繁茂しやすいゆったりとした流れで、水中はコカナダモの葉で覆われています。
水面に白いものがチラホラと見られます。コカナダモの花です。

オオカナダモもコカナダモも雌雄異株で、ともに日本には雄株しか入って来ていません。
だから、これは雄花です。コカナダモの雄花はちょっと変わっています。
オオカナダモの花にはちゃんと花びらがあるのですが、コカナダモには花びらがありません。
雄花ですからもちろん雌しべもありません。ガクと9本の雄しべだけです。
淡い黄色のクルンと巻いたような形をしているのが雄しべの葯です。
白い小さな粒々は、この葯からこぼれた花粉です。
コカナダモの花は、コカナダモの本体から切り離され、水面に浮かび上がって開花します。
葯からこぼれた花粉が雌花の雌しべに流れついて受粉するので、水媒といいます。
虫媒ではないので、花びらは要らないのです。
ただ、日本では雌花がないので、受粉することも種子ができることもありません。
からだの一部がちぎれたものが新個体になって殖えていきます。
水草は水の浄化に役立つと思われていますが、必ずしもそうではありません。
冬、枯れた部分が多量に溜まると、かえって水質の悪化を招きます。
コカナダモは、同じような所に生えるクロモなどの在来種を駆逐してしまいます。
アユなどの餌となる藻類にも悪影響を及ぼします。
みんなで一斉に除去できればいいのですが・・・。
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