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蛍袋の雄性先熟

きのうに続いて、ホタルブクロ(蛍袋)の花です。

IMG_0865.jpg

ホタルブクロのつぼみと開花した花と終わった花を並べてみました。
開花するとき、花びらが一気にずいぶん大きく成長するのがわかります。
これらの花をそれぞれ切って、内部を覗いてみました。

hotarubukuro1.jpg

↑つぼみの内部です。この段階ではポリネーター(花粉媒介者)は花の内部に入れません。
しかし、すでに雄しべの葯が大きく発達をしていて、その中央に未熟な雌しべを包んでいます。
ホタルブクロは雄性先熟で、つぼみの段階で花粉が生産されているのです。

hotarubukuro2.jpg

↑開花したときの内部です。
雌しべが大きく成長していますが、雄しべはすでに小さく萎れています。
雌しべの表面には細かい毛がたくさん生えていて、そこに花粉がいっぱい付着しています。
つまり、雄しべは雌しべの表面に花粉を預けて萎れてしまうのです。
そこへハナバチが入って来ます。花の内部の毛を足場に潜り込んでいきます。
花の奥の蜜を吸おうとすると、ハナバチの背中に花粉がくっつく仕掛けです。
この段階では、雌しべはまだ成熟していません。

hotarubukuro5.jpg

しばらくすると、雌しべが成熟してきて、柱頭が3つに分かれます。
ここへハナバチが他の花の花粉をつけてやって来ます。
柱頭にその花粉がたくさん付着しています。

hotarubukuro4.jpg

受粉を終えた花の内部です。雌しべの表面についていた花粉は綺麗になくなっています。
ハナバチたちが背中につけて持ち去ったり、食べたりしたのでしょうか?
あるいは、雌しべの表面の毛もなくなっているので、一緒に落下してしまったのかもしれません。
いずれにしても、雄しべと雌しべの成熟時期をずらすことによって、自家受粉を上手く避けています。
しかも、未熟な雌しべに花粉を預けてしまう方法は上手いやり方だと感心してしまいます。

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コメント

Re: No title

> かぜくささん
コメント、ありがとうございます。
キキョウソウの果実と種子の写真、興味深く拝見しました。
今後ともよろしくお願いします。

Re: No title

> みみさん
おはようございます。
遺伝的な多様性の低下を招くということで、多くの植物が自家受粉を避けますね。
その一方で、アサガオのように、平気で自家受精をしている植物もいます。
面白いです。

No title

とてもよく分かりました。
ありがとうございます。

No title

こんばんは~
和紙のようなホタルブクロの花の中には
そんなドラマがあったんですね~(笑)
自家受粉で弱っていくのを避けるということですね?

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丹馬

Author:丹馬
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