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休眠打破

長ぁ~い休校措置がやっと終わり、明日から学校再開です。
まだ分散登校でいつも通りではありませんが、日常が取り戻せることは嬉しいことです。
そんなわけで、1か月間続けてきた「高校生のための生き物学習」もきょうでひとまず終わりにします。

養父市の妙見山・名草神社の下にクリンソウの花がたくさん咲いています。
園芸品種ではありません。山間部の湿潤な場所に自生しています。
兵庫県では、宍粟市のちくさ高原、丹波篠山市の御嶽山の山麓などに大群落があります。

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兵庫県のレッドデータBランクに指定されている絶滅危惧種です。
しかし、クリンソウはシカが食べないため、むしろ勢力を拡大しています。
クリンソウにとってはいいことかもしれませんが、手放しでは喜べません。

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クリンソウは人気の山野草です。これを庭や鉢に植えて楽しんでいる人もいます。
クリンソウの種子は6、7月頃にできます。
しかし、この種子を採ってきて土に蒔いてもすぐには発芽しません。
種子が休眠状態に入っていて、一定期間低温にさらされないと発芽しないしくみになっているからです。

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種子の発芽を促進するのはジベレリン(略称GA)という植物ホルモンです。
一方、種子を休眠させているのはアブシシン酸(略称ABA)。これも植物ホルモンです。
この2つの植物ホルモンが拮抗的にはたらいて、種子の発芽をコントロールしています。
夏から秋にかけては種子の内部にはアブシシン酸が多く含まれているため、種子は眠ったままです。
ところが、冬の低温にさらされると、種子のアブシシン酸の量が減っていきます。
そして、春、気温の上昇とともに代謝が活発になり、ジベレリンがはたらくと発芽するのです。
春にちゃんと種子を発芽させるための上手いシステムです。

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高校生の皆さん、6月からは休眠打破! いろんなことに頑張りましょう!

では、最後の問題です。某国立大学の入試問題です。
 次の現象には、いずれも植物ホルモンが関係します。これらのうち、アブシシン酸のはたらきと関係が深い現象はどれですか。ア~オから1つ選び、記号で答えなさい。
ア キュウリのつるの先端を切り取ると側芽が成長する。
イ 乾燥すると、気孔が閉じる。
ウ リンゴやバナナなどの果実に与えると、成熟が促進される。
エ 葉に吹きつけると、まわりの組織が老化を開始しても、その箇所は緑色を保ち続ける。
オ 植物の芽生えに真横から光を当てると、光の方向に屈曲する。

きのうの問題の答え・・・ア、エ
(イ、ウは落葉広葉樹を中心とするバイオームです。)

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コメント

Re: No title

>みみさん
こんばんは。ジベレリン、使っておられるんですね。発芽率がよくなります。
オオキンケイギク、ありましたか? 残念。

No title

こんばんは~
クリンソウ 去年の種が早春に発芽しただけなんです~去年はちゃんと咲いたのに 今年はもう旬に間に合わないですね?

日本桜草の種を蒔くときはジベルリンに浸して蒔いています(#^.^#)

今日で高校生気分も卒業ですか~
答えは~イでお願いします!
あ!国道沿いの植え込みに大金鶏菊見つけました💦💦💦

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丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

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