ジャガイモの葉っぱの上で、ニジュウヤホシテントウを見つけました。
頭に近い方から片側の前翅に、3・4・3・3・1と計14個の黒斑が並びます。
両方で28個あるので、ニジュウヤホシテントウ(二十八星天道)。
テントウムシの仲間の多くは、幼虫のときも成虫になってもアブラムシを好物としています。
植物の汁を吸うアブラムシを退治してくれるので、農家や園芸家にとってテントウムシは益虫です。
ところが、このニジュウヤホシテントウは違います。
もともとは昆虫食だったのですが、進化の過程で植物食に変わったようです。
葉っぱを綺麗に薄く削り取って、独特の食痕を残しながらどんどん食べていきます。
「益虫かと思ったら害虫だった!」というので、以前はテントウムシダマシとも呼ばれました。
つまんで退治しようとすると、関節から黄色い汁を出してひっくり返ります。
この汁にはアルカロイド系の物質が含まれていて、食べると苦いのだそうです。
これは、ニジュウヤホシテントウだけでなく、他のテントウムシにも共通です。
テントウムシの仲間はみんな苦くて不味いのです。
「苦虫を噛み潰す」の苦虫はテントウムシのことだそうです。
だから、一度テントウムシを食べた鳥は二度とテントウムシを食べないといいます。
ニジュウヤホシテントウだろうがナナホシテントウだろうが、とにかく赤色と黒色の虫は不味い!
鳥たちがそう学習するほど、強烈に不味いのでしょう。
そして、これがテントウムシたちの共同作戦です。
赤色と黒色の目立つ色彩が警告色となり、1個体の犠牲によってグループ全体が利益を得るのです。
このような「異なる種が互いによく似た色彩や形状をもつこと」をミュラー型擬態といいます。
目立つことは大きなリスクのはずですが、みんなで「不味いよ!」とアピールすることで、逆にリスクを減らしているわけです。
テントウムシを舐めてはいけません^^
さて、きょうの問題です。大学入試で擬態が出題されることは少ないと思いますが、上の文の読解力と科学的思考力の問題です。
問 テントウムシのミュラー型擬態の効果について述べた次のア~エのうち、誤っているものはどれですか。1つ選びなさい。
ア 色彩の区別ができない捕食者には効果が弱い。
イ 脳が発達していない捕食者には効果が弱い。
ウ テントウムシの中に不味くないものが混じっていると効果が弱い。
エ テントウムシの個体数が多いと効果が弱い。
きのうの問題の答え…生得的行動(貯食行動は生得的行動です。経験や学習は必要なく、どの個体も行います。考えて行動しているわけではないので、不必要でも止められません。例えば、飼われているリスでも飢える心配がないのに餌をあちこちに隠します。)
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