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観察材料・雪の下

いま、ユキノシタ(雪の下)の花が満開です。
ユキノシタは原形質分離の観察材料としてよく利用します。
山の沢沿いに生えていることが多いのですが、いつでも使えるように我が家の庭に植えています。

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例年なら5月頃、花の咲いている時期に使うので、授業で花も一緒に紹介できます。
ところが、今年はまだ1回も授業ができていません。
6月から学校が始まったとしても、ユキノシタの出番は7月頃になるのでしょうか。
その頃には、もうこの可愛らしい花は見られません。
「生物」の授業というのは、季節が違うと教材まで影響を受けます。

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教材として使うのは、葉っぱの裏側の赤紫色の表皮です。
葉っぱによって色が違っていますが、できるだけ濃い色の葉っぱを使います。
表皮細胞にアントシアンという色素が含まれています。
だから、染めなくても細胞の体積の変化がよく見えるので便利な観察材料です。

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ユキノシタの花は小さいながらも印象的です。
花びら5枚のうち下側の2枚が大きくてセーラー服のリボンのよう。
上側の3枚には花ごとに微妙に違う濃い紅斑と黄斑が入っています。
雄しべは10本、雌しべの花柱は2本です。
雌しべの基部に濃い黄色の花盤(かばん)があります。これが蜜腺になっています。

IMG_9881.jpg

紅斑・黄斑に誘われてホソヒラタアブがやって来ました。
この角度から撮れたのは初めてです。ちょっと、いえ、かなり嬉しい^^

IMG_9882_2020052116075728b.jpg

花盤の蜜腺に行くのかと思ったら、花粉のほうが魅力的なようです。
↑これは若い花で、雄しべの葯がピンク色。雌しべはまだ未成熟です。

IMG_6494.jpg

雄性先熟で、雄しべの葯が落ちる頃、↑雌しべが成熟してきます。
花粉がなくなっているので、今度は花盤からあふれそうな蜜で昆虫を誘います。

では、きょうの問題です。高校の定期考査で出そうな問題です。
 ユキノシタの紅い色素(アントシアン)は、細胞内のどこに含まれていますか。次のア~エから1つ選びなさい。
ア 細胞質基質   イ 液胞内の細胞液   ウ 葉緑体   エ 細胞膜の内側全体

きのうの問題の答え・・・ア、カ
(種子植物では、種子を風散布するものがいち早く侵入しやすく、窒素固定細菌と共生するものが貧栄養状態の土壌でも育ちますので、先駆植物になりやすい種です。)

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コメント

Re: No title

>みみさん
おはようございます。高校生気分になっていただいて恐縮です。
ユキノシタの花、可愛いですよね。

Re: タイトルなし

>NISHIMURASACHIEさん
おはようございます。ここでは、初コメントですね。ありがとうございます。
身近な生き物たちに目を向けていると、季節の移ろいがよくわかりますね。
きのうまで気づかなかった花が咲いているのを見つけるのが楽しいです。

Re: No title

>ハワイアイランドさん
おはようございます。ホソヒラタアブの正面からの写真、私も気に入っています^^ ありがとうございます。
モチツツジ、あまり触りたくないですね。昆虫たちはもっと嫌みたいです。ハエ取り紙みたいですもの。
でも、花の内側はネバネバしていないんです。

No title

こんばんは~
先日窒素なんとかの植物は火山帯などの痩せた土地でも育つと教わったばかりなのに 迷ってしまいました~(^^ゞ
 ユキノシタはうちにもあって 不思議なお花だな~と思っていました

今日の問題はかなり難しいです(^^ゞ

丹波さんが説明される草花が
いつも散歩するお寺への道に咲いています。今日はあざみの花の白い粒々を見つけました。

No title

ユキノシタ 我が家の庭でも咲き始めました
写真が とても鮮明なので 説明もとてもわかりやすいです
アブが ユキノシタに突進して飛んでくる姿 おもしろいです
モチツツジのことですが
先日 家のすぐそばの 山斜面に 咲いているツツジを 生け花に使ったのですが ネバネバとして困った植物だと思いましたが モチツツジが昆虫から 身を守るためだったのですね

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丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

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