道端にノアザミの紅紫色の花が咲いています。
アザミの仲間はたくさんありますが、いまごろ咲いているのはノアザミです。
植物の中にはエンドウやイネのように自家受粉をするものもあります。
自家受粉は高い確率で受粉できますが、近交弱勢を招き、適応性を低下させる危険性があります。
そこで、多くの植物は積極的に他家受粉を行い、遺伝子のバリエーションを豊富にしています。
そのしくみをノアザミで見ていきます。
ノアザミはたくさんの花が集まって1つの花のようになっています。
↑この写真のピンク色の棒状のものが雌しべです。そのまわりに濃い紫色の雄しべがあります。
雄しべは5本ですが、上部はくっついていて筒状になっています。
ノアザミの花にコマルハナバチがやって来ました。花の上を動き回ります。
すると、白い粉状の花粉がモコモコと出てきます。コマルハナバチはこの花粉を食べまわります。
花粉が飛び出す仕掛けはところてんの要領です。
雌しべが突き棒となって筒の内部の花粉を外に押し出します。
ただ、雌しべが上方に伸びるのではなくて、雄しべの筒が下がることで花粉が出てきます。
昆虫が触れることが刺激になって、雄しべが下がるしくみになっています。
コマルハナバチのからだは花粉まみれ。
花の上を歩き回り片っ端から花粉を食べようとすればするほど、花粉がからだにくっつきます。
2、3日すると、雄しべは枯れて落ちてしまいます。
ピンク色の雌しべが残り、その先端が2つに分離します。
この状態になって初めて雌しべは受粉可能になります。
つまり、雄しべが先に成熟して花粉を放出しますが、この時点では雌しべは未熟で受粉できません。
雄しべが枯れてから雌しべが成熟してくるのです。これを雄性先熟といいます。
からだに他のノアザミの花粉をつけたミナミヒメヒラタアブがやって来ました。
先が2つに分かれた雌しべの先端に白い花粉がついています。他家受粉の成立です。
植物によっては雌性先熟を示すものもあります。
いずれにしても、上手く自家受粉を避けて遺伝的多様性を保ち、環境の変化への適応性を高めています。
では、きょうの問題です。高校入試レベルの問題です。
問 次のア~オのうち、他家受粉に当たるのはどれですか。該当するものをすべて選びなさい。
ア 1つの花に雄しべと雌しべがそろっている両性花で、その雄しべの花粉が同じ花の雌しべにつく。
イ 1つの株に複数の両性花が咲いている場合、その雄しべの花粉が同じ株の別の花の雌しべにつく。
ウ 1つの株に雄花と雌花がある場合、その雄花の雄しべの花粉が同じ株の雌花の雌しべにつく。
エ ある両性花の雄しべの花粉が同じ種の別の株の両性花の雌しべにつく。
オ 雄株と雌株がある場合、雄株の雄しべの花粉が同じ種の雌株の雌しべにつく。
きのうの問題の答え・・・エ
(「治水」「利水」の観点だけでなく、「環境の保全」の観点からコンクリートの堤防強化は見直しが必要です。ウの記述は正しいですが、現実に沖縄の辺野古で起こっていることを考えると・・・)
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