生物の多様性を維持する上で、里地・里山の重要さが指摘されています。
水田やため池、雑木林、原っぱなどは、人々が生活することによって形成され、維持されてきました。
そこには里地・里山だからこそ生きる多様な生物たちがいます。
例えば、ツバメたち。彼らはヒトと共に生きています。
ヒトの近くで巣作り・子育てをすることで、カラスやヘビ、イタチなどの天敵から逃れられるのです。
田植え前の田んぼに巣作りのための泥を取りに、ツバメたちが集まっていました。
よく見ると、3種類のツバメの仲間がいます。
背中が黒くてのどが赤く、胸が白いのがツバメです。
最もヒトに慣れていて、主に人家の軒先に巣を作ります。
腰のあたりが白いのがイワツバメです。
このあたりでは橋桁の下に巣を作っているのをよく見かけます。
ちょっと大きめで腰のあたりがオレンジ色なのがコシアカツバメです。
ツバメより大きな建物を好むのか、学校の校舎に巣作りをしているのをよく見かけます。
Y高校の校舎の南側(グランド側)の庇(ひさし)の下に作られたコシアカツバメの巣です。
例年ならたくさんのペアが1~3階の庇の下に巣を作り、出入りする姿が見られます。
ところが、今年はその姿が極端に少ないのです。私が確認したのは2ペアだけでした。
生徒たちが登校しない静かな学校では、コシアカツバメたちは安心して暮らせないのでしょう。
コロナ禍はコシアカツバメの生活にまで、間接的に影響を及ぼしていることを知りました。
巣の色が部分的に違っているのは、昨年の壊れた巣を利用して作り直しているからです。
お椀のようなツバメの巣と違って、コシアカツバメの巣は徳利(とっくり)を半分にした形です。
入り口が狭く天井にくっついていますので、ひなの様子を覗くことはできません。
この巣の形はスズメにも魅力的なようで、ときどきスズメの乗っ取りにあうこともあります。
巣の中を見ることはできませんが、ひなはまだ誕生していないようです。
一日も早くコロナ禍が終息し、学校が再開されることを期待します。
それは、コシアカツバメたちが安心して子育てできる環境を整えることにつながります。
きょうの問題は、過去のセンター試験の問題から。
問 人間活動が生態系にさまざまな悪影響を与えています。それを防ぐ環境保全の試みに関する記述として適当でないものを、次のア~エから1つ選びなさい。
ア 絶滅しそうな野生生物を人工的に繁殖させて種の保全を図ろうとしている。
イ 人里の放置された雑木林に人の手を加えて維持、管理しようとしている。
ウ 貴重な生物種の生息域について、開発を抑制し、保護しようとしている。
エ 河川改修ではコンクリートで堤防を強化したり、堰(せき)を設けたりして自然浄化を促進している。
きのうの問題の答え・・・ウ
(真社会性動物のハダカデバネズミの寿命は極端に長く、28年という記録もあるそうです。)
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