ミツバチのように、1つの巣の中に女王蜂や働き蜂のような階層がある昆虫を社会性昆虫といいます。
ミツバチが代表格ですが、スズメバチやアリ、シロアリにも見られます。
でも、巣のメンバーは家族。女王蜂とその子どもたちです。人間の社会とはちょっと違います。
そもそも何らかのルールがあれば社会なのです。モンシロチョウにだって社会はあります。
そこで最近は、働き蜂のような「不妊の階層がある」という特徴にスポットを当て、そのような昆虫を真社会性昆虫と呼ぶようになりました。
その1種のコマルハナバチ(小丸花蜂)を紹介します。腹部の末端がオレンジ色の蜂です。
レンゲソウに来たコマルハナバチの働き蜂
この時期、盛んに飛び回っているのはコマルハナバチの働き蜂たちです。
春、冬眠から目覚めた女王蜂がたった1匹で巣を作ります。
作るといってもネズミやモグラが掘った穴を利用しての巣作りです。
女王蜂は卵を産み、幼虫の世話をし、餌を集めて来て子育てをします。
女王とは名ばかりで、大変な働き者のお母さんです。
ネギ坊主に来たコマルハナバチの働き蜂
育った子どもたちは働き蜂になります。盛んに花を飛び回って餌を集め、幼虫の世話をします。
それがいまの時期です。女王蜂はもう飛び回らず、卵を産むことに専念します。
働き蜂たちは遺伝的にはすべて雌ですが、不妊です。卵を産むことはありません。
姉が妹たちの世話をし、巣が大きくなっていきます。
ヒラドツツジに来たコマルハナバチの働き蜂。突っ張った脚が可愛い。
やがて6月頃、新しい女王蜂と雄蜂が誕生します。女王蜂の娘と息子です。
外婚というルールがあり、雄蜂は他の巣で新しく誕生した女王蜂と交尾しなければなりません。
新しい女王蜂の数よりも雄蜂のほうが多いので、交尾できるのはごくわずかです。
交尾できても、できなくても、雄蜂はやがて死にます。寿命は1か月程度しかありません。
そして7月頃、巣は解散です。新しい女王蜂を除いて働き蜂たちもすべて死滅します。
シロツメクサに来たコマルハナバチの働き蜂。
生き残った新しい女王蜂は、それから夏・秋・冬と長い休眠に入ります。
そして、春に目覚めて巣作りを始めるのです。
いま5月半ば、女王蜂はまさにステイホーム。巣の中で産卵するだけの毎日です。
雄蜂も新しい女王蜂もまだ生まれていません。
だから、この時期見かけるのは働き蜂ばかりなのです。
それもあと2か月。梅雨が明けるとコマルハナバチの姿は消えます。
さて、きょうの問題です。入試問題というよりはクイズです。
問 真社会性を示すのは昆虫だけではありません。ハダカデバネズミという平均80頭くらいで生活する真社会性の哺乳類が発見されました。繁殖能力をもつのは1ペアの雌雄だけで、他はすべて働きネズミです。このネズミの特徴として適当でないものを、次のア~エから1つ選びなさい。
ア 哺乳類であるのに体毛がほとんどない。
イ 砂漠地帯の地中でトンネルを掘って生活をする。
ウ 他のネズミと比較して寿命が極端に短い。
エ 哺乳類であるのに体温調節ができないため変温動物である。
きのうの問題の答え・・・エ
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