fc2ブログ

記事一覧

遺伝的多様性

緩やかな流れの清流に住むニホンカワトンボです。金属光沢の美しいトンボです。
県によっては絶滅危惧種に指定されていますが、但馬では特に珍しいトンボではありません。

nihonkawa♂♀

↑この手前の個体が雄で、奥にいるのが雌です。
このあたりでは、雄は橙色の翅をもつものが多く、雌は淡い橙色の翅をもつものが多いようです。
しかし、雄にも淡い橙色の翅をもつものがいますし、雌雄とも無色透明の翅をもつものもいます。
同じニホンカワトンボという種の中にもいろいろなものがいるということです。
翅の色だけでなく、体色、繁殖行動のしかた、免疫力などにも違いがあります。
遺伝的に決まっていることでも個性があるということで、これを遺伝的多様性といいます。

nihonkawa♀2

↑これは淡い橙色の翅の雌。↓こちらは無色透明の翅の雌。
雌か雄かは尾部の形で見分けることができます。

nihonkawa♀1

同じ種の中で、遺伝的多様性が保たれていることは大変重要です。
仮に多少の環境の変動があっても、それに適した形質をもつものが生き延びることができます。
きのう紹介したクローンは遺伝的に同一の集団で、遺伝的多様性がまったくありません。
このような集団に、もしウイルスによる病気が流行ったりしたら、一気に全滅することも起こります。
セイヨウタンポポなどは適応範囲が広いようですが、そういう弱い一面を抱えています。

nihonkawa♂1

↑これは橙色の翅の雄。↓こちらは未熟な雄のため淡い橙色の翅をしています。
成熟すると多くは橙色になりますが、成熟してもこの色の雄がいます。

nihonkawa♂2

集団の個体数が極端に減ると、血縁が近い個体どうしの交配が起こります。これが近親交配です。
近親交配が続くと、産子数の減少や子の生存率の低下をまねきます。この現象を近交弱勢といいます。
そうなると、一気に絶滅への道をたどることになります。
種の存続のためには、ある程度以上の個体数がいて、遺伝的多様性が維持されることが重要なのです。

では、きょうの問題です。入試問題ではなくてクイズです。
 次のア~オのうち4種は個体数が減少し、近交弱勢によって絶滅が大変危惧されている動物です。1種だけ、すでに絶滅してしまったと考えられているものが含まれています。それを選びなさい。
ア インドシナトラ(インドシナ半島を中心とする東南アジアのトラ)  
イ アムールヒョウ(ロシア沿海地方、中国北東部の森林のヒョウ)
ウ ガラパゴスペンギン(最も低緯度の赤道直下のペンギン)
エ レッサーパンダ(インド、中国、ネパール、ミャンマーの森林のパンダ)
オ ニホンカワウソ(日本の特別天然記念物、愛媛県の県獣)

きのうの問題の答え・・・イ 
(ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種のクローンであり、三倍体ではありません。種子をつくらないので挿し木で殖やします。他はすべて三倍体です。セイヨウタンポポは受精せずに三倍体の種子をつくって殖えます。ヒガンバナは種子をつくりませんので球根で殖えます。日本で売られているバナナ(果実)に種子がないのは三倍体のためです。原産地では本来の2nのバナナもあるようです。これには種子ができますが、食べにくいでしょうね^^

↓1日1回、ポチッとお願いします。 大変励みになっています。

植物・花ランキング
このブログの写真の無断使用をお断りします。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

Re: タイトルなし

>みみさん
おはようございます。いつもありがとうございます。
ウイルスとの戦いはいまに始まったことではなくて、人類が誕生するずっと以前からありました。
ウイルスとの戦いで生物は進化してきたのかもしれません。

こんばんは(*^^*)
ウイルスから生き延びるためには多様性が必要なんですね~
今の時期、心に響きます~(^_^ゞ💦

クイズは知識がないので答えられません~(笑)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

いらっしゃい!

ご訪問、ありがとうございます。