土筆が生えてくる条件
- 2020/04/11
- 21:00
高校で「生物基礎」を担当するときは、毎年4月にツクシ(土筆)を採ります。
顕微鏡の使い方をマスターするときの観察材料として、スギナ(杉菜)の胞子を使うからです。
今年もウォーキング中に100本ほどのツクシを採りました。
でも、5月6日まで休校では、ツクシの出番はいつになることやら・・・。
それまで我が家の冷蔵庫の氷点下ストッカーで保存できるでしょうか? 心配です。
いつも採集するところでは、↑この通り、例年と同じようにいっぱいツクシが生えています。
もう胞子が残っていないものもありますが、まだ胞子を飛ばしていないものもたくさんあります。
今年は暖冬で、ツクシは早く生えました。だから、もう枯れているはずでは?
いえいえ、例年通りこうして生えているところがあるのです。不思議でしょ。
↑左のツクシはまだ胞子を飛ばしていません。右のツクシはもうほとんど飛ばしています。
実は、ツクシが生えてくる条件は、気温の上昇だけではないのです。
ツクシが生えてくる時期は2度あるんです。
1度目は、暖かくなってきたとき。
2月とか3月初旬に生えてくるのがそれです。気温の上昇に反応しています。
2度目は、日照時間が長くなってきたとき。
春分の日を過ぎた3月下旬から4月に生えてくるのがそれ。
1度目は毎年変化しますが、2度目は毎年同じ時期に生えてきます。
ツクシが枯れてスギナだけになったところ(左)と、ツクシだけでスギナがまだ生えていないところ(右)
ただし、1つの個体から2度生えてくるというのではないと思います。
いま、ツクシ(胞子茎)が枯れてスギナ(栄養茎)だけの場所と、ツクシだけの場所があるからです。
両方が混じっている場所もあります。
つまり、気温に反応する個体と日照時間に反応する個体の2種類があるのです。
そして、それは遺伝的に決まっているのではないかと思います。
↑地面から顔を出したばかりのツクシです。まだ、土がついています。
種子植物が日照時間を感知するのは葉っぱです。
昼間の長さではなく夜間の長さを感知し、花芽を形成したりしなかったりすることがわかっています。
シダ植物のスギナの場合は、いったいどこで日照時間を感知するのでしょう?
ツクシが生えた後にスギナが出てくるのですから、ツクシが出るまで地上部分はないはずです。
土中でツクシはどうやって日照時間の変化を知るのでしょう?
まだまだわからないことがいっぱいあります。
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