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栴檀の下ろす露

「百年目」という古典落語があります。
演じるにはかなりの技量が求められるネタで、いつかはできるようになりたい大ネタです。
その中にセンダンという木が登場します。
米朝師匠は「赤栴檀(しゃくせんだん)」、圓生師匠は「栴檀(せんだん)」とされています。

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大旦那が穏やかな口調で番頭を諭す場面です。
みごとなセンダンの根元にナンエンソウ(難莚草)という雑草が生えている。
このナンエンソウを取ってしまうと、センダンが枯れる。
ナンエンソウが生えて枯れることでセンダンの肥やしになっている。
センダンの下ろす露がナンエンソウの肥やしになる。
・・・と、店の旦那と番頭の関係、番頭と店の若い者との関係と絡めて諭します。

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現代の経営者と労働者、上司と部下にもそのまま当てはまる重いセリフです。
露を下ろさず、栄養を吸い上げることしか知らない輩にぜひ聴かせてやりたい噺です。

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落葉したセンダンの枝に黄褐色に熟した果実だけがたくさんついていて、遠くからでも目立ちます。
ナンエンソウという植物はなく、具体的に何を指すのかはわかりません。
しかし、センダンの落ち葉は動物たちの餌になり、その糞は植物の栄養になります。
センダンの果実はヒヨドリ、ムクドリ、ツグミなどの餌になります。
彼らの存在があってこそ、センダンが栄え子孫を残していけるのです。
センダンのまわりのすべての生きものがナンエンソウに相当するのだと思います。

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Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

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