湯屋と石榴
- 2019/06/14
- 21:00
古典落語に「湯屋番」という噺があります。
風呂屋ではなくて湯屋なんですね。「ゆ」だけでも通じる、庶民の憩いの場所だったんです。
女性や子どもは「おゆーや」と呼んでいたそうで、落語にも出てきます。
湯屋の表には弓に矢をつがえた絵の看板がありました。「弓射る」と「湯入る」のシャレです。
入り口に「わ」と書いた板が置いてあれば開店中。「沸いた」のシャレです。
遅くなると「ぬ」と書いた板に変わって閉店を意味します。「抜いた」のシャレです。
江戸時代の初めは、現代のような風呂ではなくて蒸し風呂です。高温の蒸気浴だったんです。
後に、湯船ができて、これに膝から下をつけて上半身は蒸気浴という形に変わります。
さらに、この蒸気を逃がさないように、まわりを板で仕切ります。
入り口は狭く、かがみ込んで入らなければなりません。
この入り口が「石榴口(ざくろぐち)」です。
・・・やっと、ザクロ(石榴)の登場です。
鮮やかな濃いオレンジ色のザクロの花が咲き始めました。
昔は鏡を磨くのにザクロの酢を使ったのだそうです。
鏡を磨くのにザクロが要る。そこで、「鏡要る」と「屈み入る」のシャレで「石榴口」。
湯屋はシャレだらけ。「湯屋番」はギャグだらけ。楽しい噺です。
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