川萵苣の遺伝的攪乱
- 2019/05/13
- 21:00
カワヂシャという植物があります。環境省レッドデータで準絶滅危惧種になっています。
川に生えていて、チシャ(=レタス、萵苣)のように食べられるのでカワヂシャ(川萵苣)。
100年以上前に、これによく似たオオカワヂシャ(大川萵苣)という外来種が日本に入って来ました。
オオカワヂシャはカワヂシャと交雑し、ホナガカワヂシャ(穗長川萵苣)という雑種をつくります。
そして、このホナガカワヂシャは発芽能力のある種子をつくり殖えていきます。
これが雑種のホナガカワヂシャです。
近くの川で、昨年の台風で崩れた護岸を修復する工事が行われていました。
その工事の行われた場所から下流方向へ約150mに渡って、ホナガカワヂシャの大群落が生じています。
川原は淡い紫色の花で覆われています。昨年まではまったく見られなかった光景です。
この川では、カワヂシャもオオカワヂシャも見たことがありません。
工事車両に付着していたのか、持ち込んだ砂礫に混じっていたのかはわかりませんが、護岸工事に伴って他の場所からホナガカワヂシャの種子が持ち込まれたと考えられます。
在来種と外来種の雑種が子孫を残すと、この雑種がまた在来種と交雑することも起こります。
こうして遺伝的攪乱が起こります。遺伝子汚染ともいいます。
オオカワヂシャは外来生物法で、栽培・販売・運搬・譲渡が禁止されています。
法人が違反した場合には、1億円以下の罰金ということになっています。
工事業者によるホナガカワヂシャの運搬は、許されるのでしょうか?
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