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誰のために咲く日本水仙

きょうは神戸に行ってきました。神戸の空は気持ちよく晴れていて、春のような陽射しでした。
しかし、但馬に戻ってくると雨。瀬戸内と日本海側の冬の天候の違いが見事に現れた一日でした。

さて、きょうの写真はニホンスイセン(日本水仙)です。
花の少ないこの時期に清楚な姿を見せてくれます。香りもいいので嬉しくなります。

IMG_9770.jpg

ニホンスイセンという名前ですが、原産地は地中海沿岸です。
古い時代に日本に入って来て、庭に植えられ、一部は野生化しています。

IMG_9770 - コピー

白い花びらの内側に黄色い副花冠と呼ばれる第2の花びらのようなものがあります。
その内側に雌しべ1本、雄しべ6本があります。副花冠は雄しべの付属物と考えられています。
ちゃんと雌しべ、雄しべが揃っているのに、ニホンスイセンには種子ができません。
だから、球根でしか殖えません。

IMG_9775.jpg

おそらく原産地の地中海沿岸ではこの花に昆虫が訪れ、種子をつくっていたと思われます。
ところが、日本に持ち込まれた個体が突然変異体だったか、あるいはその子孫が突然変異を起こしたのか、たまたま三倍体(3n)の個体が日本で広がっていくことになりました。
3nのものは受精することができません。
そのため、球根で(すなわち、クローンで)殖えるしか方法がなくなったのです。

IMG_9772.jpg

♪誰のために咲いたの それはあなたのためよ・・・って歌がありました。
ニホンスイセンは種子ができないのに、何のために綺麗な花を咲かせているのでしょう?
こういう質問は愚問です。生命現象を合目的的に考えてはいけません。
しかし、敢えてこの質問に答えるならば、「それはあなたのため」です。
ニホンスイセンは自分のためではなく、人間のために花を咲かせてくれていると言えます。
なぜなら、この花の姿と香りを人が好み、人が殖やし、人が広げていったのですから。
そう考えると、ニホンスイセンがとっても愛おしく思えてきます。

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丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

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