雪の下に来た昆虫たち
- 2021/05/31
- 21:00

小佐川の川べりにユキノシタ(雪の下)が群生していました。こんな湿った場所や半日陰の場所を好みます。とっても可愛らしい独特の形の花です。花びら5枚のうち、下側の2枚が大きく、しかもその大きさが異なります。上側の3枚には紅い斑点と黄色い斑点が見られます。↑左側が若い花です。10本の雄しべの先にピンク色の葯がついています。雌しべの花柱はまだ短く、2本あるのがわかる程度です。その後、右側のように雄しべの葯は落...
腹黒な天道虫
- 2021/05/30
- 21:00

まだつぼみのアジサイの葉っぱの裏にちょっと珍しい昆虫を見つけました。ハラグロオオテントウ(腹黒大天道虫)です。体長は12mmくらい。よく見かけるナナホシテントウの2倍くらいあります。長さが2倍だと面積は4倍ですから、見た目はとっても大きく見えます。日本では最大のテントウムシです。腹側が黒いのでハラグロってついていますが、テントウムシの腹はたいてい黒っぽいです^^オレンジ色の地に黒い斑点があります。黒い斑...
花粉の数珠繋ぎ作戦
- 2021/05/29
- 21:00

毎年、この時期にこの花を撮っているような気がします。道端のヒルザキツキミソウ(昼咲月見草)です。北米原産です。庭から逃げ出して野生化しています。つぼみのときはピンク色。開くと淡いピンク色がかった白い部分の多い花です。マツヨイグサの仲間ですが、宵まで待たずに昼間から、いえ朝から開いています。雄しべが8本。花粉が粘着糸で数珠繋ぎになっています。真ん中に雌しべが1本。雌しべの先端は4つに分かれ、十字形に...
箱根の浅間
- 2021/05/28
- 21:00

ハコネウツギ(箱根空木)の花を撮っているとき、ちょっと珍しいチョウに出会いました。アサマイチモンジ(浅間一文字)です。箱根の浅間って、関西ではないみたいです。珍しいと言っても、絶滅危惧ってほどではありません。よく似たイチモンジチョウの分布は日本全土ですが、アサマイチモンジは本州だけです。そういう意味で限定的なチョウです。幼虫はスイカズラやウツギの葉っぱを食べます。食べられた葉っぱがありました。この...
白から赤へ
- 2021/05/27
- 20:00

道路沿いにハコネウツギ(箱根空木)の花が紅白の花を咲かせています。ハコネウツギはこの辺りには自生しませんので、これは植えられたものです。スイカズラ科に属する仲間です。スイカズラの花の色は、白色→黄色と変化します。ハコネウツギの花の色は、白色→ピンク色→赤色と変化します。花びらは5裂、雄しべが5本、雌しべが1本。雌しべの先端は丸く大きく膨らんでいます。ここに花粉がつくと、ピンク色から赤色に変わっていく...
大金鶏菊の駆除にご協力を
- 2021/05/26
- 21:00

豊岡市では、↓こんなお知らせが回覧されているようです。ありがたい取り組みです。回覧にある通り、オオキンケイギク(大金鶏菊)は北米原産の外来生物です。外来種の中でも特に在来種を駆逐する危険性が高いとして、特定外来生物に指定されています。私もウォーキングのときに見かければ引き抜いているのですが、一人ではなかなか大変です。区長さんにお願いして区のクリーン作戦のときに除去作業もしてもらっています。中学生も...
染井吉野の桜んぼ
- 2021/05/25
- 21:00

小佐川のソメイヨシノの並木の中にときどき果実をつけている木があります。果実の数はたいていわずかなのですが、中にはたくさんつけているものもあります。ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交配種です。自家不和合性が強いので種子で殖えることはありません。そこで、挿し木や接ぎ木で殖やしますので、ソメイヨシノはすべてクローンです。種子で殖えないソメイヨシノに、なぜこんなにたくさん果実が実っているのかとい...
小丸花蜂の雄蜂
- 2021/05/24
- 21:00

シロツメクサ(白詰草)で吸蜜中のコマルハナバチ(小丸花蜂)の雄に出会いました。レモンイエローの毛に覆われた美しいハチです。腹部の先の毛はオレンジ色です。この点は女王バチやはたらきバチも同じです。しかし、雄の黄色い部分が女王バチやはたらきバチは黒色ですので、まったく別種のように見えます。コマルハナバチは珍しいハチではありません。でも、雄の寿命はわずか1か月程度です。この時期しか見ることができません。...
平地に高山植物
- 2021/05/23
- 21:00

きょう、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けてきました。その前に、朝のウォーキング。小佐川の土手にネギ坊主のような形の紫色の花が咲いているのを見つけました。図鑑で調べると、これが何とシロウマアサツキ(白馬浅葱)です。図鑑によると、シロウマと名がつく通り、北アルプスの白馬岳などに自生する高山植物です。分布は中部地方以北、花期は7~8月と紹介されています。それがなぜ、但馬の平地にあるのでしょう。まだ5...
顔剃菜に来た昆虫たち
- 2021/05/22
- 21:00

川沿いの道端にコウゾリナ(顔剃菜、剃刀菜)が黄色い花を咲かせています。茎や葉っぱに剛毛があってゴワゴワしていて、触るとケガをしそうです。そんなカミソリのようなイメージから剃刀菜(かみそりな)。あるいは、顔剃り(かおぞり)菜からコウゾリナになったようです。黄色は、明るく楽しい色。裏返せば、軽く安っぽい色。だから、大安売りのチラシには黄色がよく使われるのだそうです。また、黄色は子どもが好きな色だそうで...
幼虫は菜食主義
- 2021/05/21
- 21:00

シロツメクサの花の上にちょこんと飛び乗ったヤブキリの幼虫です。薮に棲んでいるキリギリスということでヤブキリ。でも、草原にもいます。まだ孵化して間もない幼虫で、翅もありません。緑色のからだに長~い触角、背中の1本スジが特徴です。成虫になるまで6回くらい脱皮を重ねるそうです。脱皮するたびに肉食性が強くなって、アブラムシやセミを襲って食べるようになります。しかし、いまは花の上で花粉や花びらを食べています...
満開の水蝋樹
- 2021/05/20
- 21:00

イボタノキ(水蝋樹)が満開です。ふつうは樹高2mくらいの低木ですが、この木は3m以上あります。白い花がたくさん密集して咲いています。筒状の花から顔を出しているのは2本の雄しべの葯です。雌しべはとっても短くて、花の奥にあり、表からは見えません。イボタノキはモクセイの仲間です。キンモクセイほど強くはありませんが、いい香りがします。その香りに誘われていろんな昆虫たちがやって来ます。↑ナミハナアブは花粉を...
小さくても菖蒲の仲間
- 2021/05/19
- 21:00

ニワゼキショウ(庭石菖)という和風の名前ですが、北米原産の帰化植物です。花には白色と赤紫色があり、遺伝的に決まります。白色が優性(顕性)です。小さくて可愛らしい花ですが、これでもアヤメの仲間です。アヤメの仲間のからだは、花びら3枚、ガク3枚、雄しべ3本など、3が基本です。ニワゼキショウもこの原則に従っています。花びらが6枚に見えますが、よく見ると大小2種類が3枚ずつあるのがわかります。スジが3本入...
雨の日の山法師
- 2021/05/18
- 21:00

梅雨入りして連日の雨です。カメラを持って出かけるのも億劫になります。我が家のヤマボウシ(山法師)です。今年はなぜか、いつもの年以上にたくさん花を咲かせています。4枚の白い花びらのように見えるのは、つぼみを包んでいた総苞片です。その真ん中にあるのが花。30個くらいの花が球状に集まっています。いま咲いている花、これから咲く花、もう咲き終わった花もあります。いま咲いている花を見ると、黄緑色の花びらが4枚、...
歓迎、蜂様
- 2021/05/17
- 21:00

道端の日当たりのいい場所にノアザミ(野薊)が目立つ季節になりました。ノアザミにはチョウやハチがよくやって来ます。ノアザミは雄性先熟で、はじめは雄しべが成熟します。濃い紫色の5本の雄しべが筒状になっています。この時期に昆虫が訪れると、それが刺激になって花粉を放出します。昆虫の代わりに、指で軽く撫でてやると↑この通り。花粉がモコモコと出てきます。これが昆虫のからだについて運ばれます。その後、ノアザミは...
派手な蛇結茨
- 2021/05/16
- 21:00

近畿地方もきょうから梅雨入り。これまでで最も早いのだそうです。きのう撮った写真です。林の縁の日当たりのいいところにジャケツイバラ(蛇結茨)の黄色い花が目立ちます。ノイバラ(野茨)はバラの原種ですが、ジャケツイバラはバラの仲間ではなくてマメ科の植物です。イバラという名前が示す通り、するどい刺があります。この刺のためにシカが食べないらしく、そのため但馬では増えているように思います。鮮やかな黄色い花びら...
毒を蓄えた薄翅白蝶
- 2021/05/15
- 21:00

香美町でウスバシロチョウ(薄翅白蝶)にたくさん出会いました。シロチョウの仲間ではないので、ウスバアゲハ(薄翅揚羽)というほうがいいようです。でも、ついついウスバシロチョウと言ってしまいます。北方系のチョウで、西日本では珍しいようです。兵庫県でも南のほうにはいないようです。但馬ではよく見かけます。ただし、成虫が見られるのはこの時期の1か月間程度だけです。毛深いかわりに鱗粉が少なくて、からだは半透明で...
うへ山の棚田の田植え
- 2021/05/14
- 21:00

村岡高校の生徒の皆さんが田植えをするというので、「うへ山の棚田」に行ってきました。香美町小代(おじろ)区の貫田(ぬきだ)の棚田です。「日本の棚田百選」に選ばれています。休耕田は1つもなく、すべての田んぼに水が張られています。高齢化で作付けができなくなった田んぼもありますが、地元の若者グループが頑張っています。その名も「俺たちの武勇田」。地元の小中学生や高校生も田植えや稲刈りに参加しています。きょう...
繊細な亜米利加風露
- 2021/05/13
- 21:00

高校の体育館の西側の空き地にアメリカフウロ(亜米利加風露)の花が咲いていました。名前の通り、アメリカからやって来た帰化植物です。在来種でいうとゲンノショウコに近い仲間です。花もよく似ていて、直径1cmくらいの可愛らしい花です。葉っぱが特徴的です。基本は円形なのですが、深い切れ込みが入り5つに裂けています。これにさらに裂け目が入り、繊細な感じ。花びらと同じように雄しべの葯もピンク色です。雄しべは10本あ...
松葉雲蘭の作戦
- 2021/05/12
- 21:00

高校の前庭で、マツバウンラン(松葉雲蘭)の花が風に揺れています。可愛い花ですが、北米原産の帰化植物です。以前は見かけなかった花です。最近、あちこちに群生しているのを見かけます。校内には3年前に初めて侵入してきて、年々その数を増やしています。ニガナを背景に撮ってみました。高さ40cm程度で、細い茎の上のほうに青紫色の花をつけます。葉っぱは茎の下のほうにちょこっとついているだけです。しかも、細くて数も少な...
何じゃもんじゃ
- 2021/05/11
- 21:00

豊岡市日高町の隆国寺の駐車場と三方小学校の間のヒトツバタゴ(一つ葉田子)が満開です。ナンジャモンジャという別名のほうが有名です。枝に季節外れの雪が積もったかのように真っ白です。白い花びらが風に舞います。ブンブンと羽音を立てて花に群がるのは、クマバチではなくてハナムグリでした。花の中に潜り込んでモゾモゾしているイメージのハナムグリが活発に飛び回っています。ヒトツバタゴの花粉や蜜がよほどお気に入りなの...
丸いのは雄しべ
- 2021/05/10
- 21:00

山野草のフタリシズカ(二人静)です。茎の先に立つ2本の花穂を、能楽の静御前とその亡霊の舞姿に見立てたのだそうです。不勉強で能楽の知識がありませんので、よくわかりません。花穂は2本とは限らず、1本のものや3本のもの、中には5本のものもあります。面白い形の花です。花びらもガクもありません。丸くなっているのは3本の雄しべです。その内側にある雌しべを包み込んでいます。丸くなっている内側に葯があります。その...
萌木色
- 2021/05/09
- 21:00

手紙の書き出しみたいですが、新緑が美しい季節になりました。若葉のみずみずしい黄緑色に元気をもらいます。中でも新緑が美しいのがブナ(橅)の仲間です。↑ブナ科ブナ属ブナ。萌木色・萌黄色・萌葱色、書き方はいろいろあるようですが、こういう色をいうのでしょう。↑こちらはブナ科コナラ属のミズナラ(水楢)。葉っぱの縁にブナよりも粗いギザギザ(鋸歯)があります。↑これはブナ科コナラ属のカシワ(柏)でしょうか。鋸歯が...
新緑の吉滝
- 2021/05/08
- 21:00

香美町小代区の「吉滝(よしたき)」に行ってきました。「吉滝→」の案内板にしたがって進んでいくと、行き止まりに駐車場があります。「ここから○m」というような案内板はいっさいなく、下り坂を歩くこと約300m。スギ、ケヤキ、トチノキの間に目指す滝が見えました。二段になっていて、上段は落差23m、下段は落差5m、合わせて28mだそうです。周りの樹木が大きいためか、それほど大きな滝には見えません。上段の滝の裏側はちょ...
目立たない椨の花
- 2021/05/07
- 21:00

野外授業は、クスノキ(楠、樟)で始まってタブノキ(椨)で終わりました。その間に、ネズミモチ、クワ、ツガ、ケヤキ、ヤツデ、ゲッケイジュ、ブナ、ミズナラなども紹介します。タブノキは、照葉樹林の代表的な木として教科書にも登場します。海岸近くの森に多く見られる木です。高校の校内には2本植えられています。「これがタブノキだよ!」と紹介するためだけに^^タブノキはクスノキの仲間です。この葉をつぶして匂いをかぐと...
楠の葉の寿命
- 2021/05/06
- 21:00

きょうは心地いい青空が広がり、いい天気。そこで、教室を出て野外授業です。まずは、新緑が美しいクスノキ(樟、楠)の下の木陰に集合。もうすぐ目立たない花が咲きますが、まだつぼみです。私「このクスノキは、落葉樹? それとも常緑樹?」生徒たち「落葉樹!」私「なんで?」生徒たち「木の下にいっぱい落ち葉が落ちてるもん」素直ないい生徒たちです。期待通りに間違ってくれます^^落葉するのが落葉樹で、落葉しないのが常緑...
結び灯台
- 2021/05/05
- 21:00

ドウダンツツジ(灯台躑躅)に小さな壺形の花がたくさん咲いています。秋にはみごとな紅葉を楽しめますが、春のスズランのような花も可愛いです。「ドウダン」って「トウダイ」が訛ったんだそうです。トウダイと言っても、岬に立つ灯台ではなくて、「結び灯台」のことです。3本の棒をひもでくくって足を開いて立てて、その上に油皿を乗せた灯りです。枝分かれのしかたが、その結び灯台に似ているということからの命名のようです。...
麝香揚羽と三椏
- 2021/05/04
- 20:00

きょうは、朝からたくさんのジャコウアゲハに出会いました。一気に羽化したのでしょうか。林の縁に植えられているアカバナミツマタの花に止まって雄が吸蜜中です。花は終わりかけていますが、まだ蜜があるようです。雄は黒色に毒々しい赤色。いかにも毒がありますよ!とアピールしています。吸蜜中の姿を撮ったら、たまたま前翅がハート形になりました。チョウは長い口吻で蜜を吸うため、花粉の運搬にはあまり役に立ちません。ミツ...
関西蒲公英の受粉
- 2021/05/03
- 21:00

我が家の近くで見るタンポポで一番多いのは、セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)です。二番目がカンサイタンポポ(関西蒲公英)、三番目がシロバナタンポポ(白花蒲公英)です。セイヨウタンポポは、その名の通りヨーロッパ原産の外来種。カンサイタンポポとシロバナタンポポは、在来種です。カンサイタンポポがたくさん集まって咲いているところがありました。黄色いかたまりは遠くからでも目立ちます。そもそもタンポポの花は小さな...
著莪の花びら
- 2021/05/02
- 21:00

養父市八鹿町の日光院の裏側は、いまシャガ(著莪、射干)で埋め尽くされています。お寺の下側にもシャガの群落があって、周囲をシャガに囲まれているようです。シャガは中国原産で古い時代に日本に入って来た帰化植物です。中国には2nや4nの個体があるそうですが、日本に入って来たのは3n(三倍体)です。そのため種子ができません。大昔の誰かが種子ではなく、シャガの植物本体を持ち込んだのです。そして、日本中に株分け...
妙見の藤・山藤
- 2021/05/01
- 21:00

山に淡い紫色のフジ(藤)やヤマフジ(山藤)の花が目立つ季節になりました。但馬ではフジとヤマフジの両方が自生しています。しかし、フジとヤマフジが混在することはほとんどありません。この2種の分布はなかなか面白くて、境界線がどこにあるのかを調べるのが楽しいです。きょうは妙見山の名草神社に向かいます。日光院から名草神社に向かう林道から見えるのはすべてヤマフジでした。ヤマフジとフジは、花穂の長さと蔓の巻き方...