鳥取砂丘の昆虫たち
- 2020/09/30
- 21:00

鳥取への小旅行の帰り道、鳥取砂丘の立ち寄りました。レストハウスや土産物店が並ぶところではなくて、砂丘の西側のほうに行きます。 ↑これは松ぼっくりです。このあたりには観光客はほとんど来ません。午前10時半くらいでしたが、足跡はわずかで綺麗な風紋が見られます。ところどころにハマベノギク、ハマゴウ、ハマニガナなどの植物。よーく見ると、砂の上に昆虫たちもいます。↑カワラハンミョウです。環境...
白兎海岸の浜辺野菊
- 2020/09/29
- 21:00

鳥取への小旅行の途中、「因幡の白うさぎ」の舞台となった白兎海岸に立ち寄りました。海はやや荒れ気味です。海岸の砂浜にハマベノギク(浜辺野菊)の群落がありました。富山県以西の日本海側だけに見られるキク科の植物です。鳥取県では準絶滅危惧種、兵庫県でもCランクに指定されています。砂浜に這うように茎を伸ばし、枝分かれした先に1つの花を咲かせます。背丈が低い割に、直径3.5cmくらいの大きな淡い青紫色の花です。...
曼珠沙華・その2
- 2020/09/28
- 21:00

田んぼの畦にヒガンバナ(彼岸花)がびっしり。歩く場所がありません^^;本当かどうかは知りませんが、ヒガンバナを植えておくとモグラが畦に穴をあけないのだそうです。モグラがヒガンバナの毒の影響を直接受けるのではなくて、ミミズがいなくなるのでモグラが来ないとか。ヒガンバナにやって来るのは、赤色を認識できるアゲハチョウの仲間です。モンシロチョウやミツバチなどはやって来ません。「ヒガンバナがたくさん咲くときは...
秋桜畑にて
- 2020/09/27
- 21:00

和名のオオハルシャギク(大春車菊)は知られていなくても、コスモス(秋桜)と言えば誰でもご存知。いまや日本の秋を彩る代表的な花になっています。でも、原産は中南米です。曇り空でしたが、コスモス畑の穏やかな雰囲気を表現するのにはちょうどいい感じです。コスモスはキク科の植物です。中央の黄色い部分に筒状花が集まっています。よく見ると、黄色い小さな花びらが5枚、雄しべ・雌しべもちゃんと揃っています。ピンクの花...
山陽附子に異変
- 2020/09/26
- 21:00

妙見山の名草神社の近くに生えるサンヨウブシ(山陽附子)です。附子(ぶす)とはトリカブトのことで、サンヨウブシはトリカブトの仲間です。岡山県で発見されたのでサンヨウ(山陽)とついていますが、兵庫県では日本海側で見られます。希少種で、兵庫県では絶滅危惧Bランクに指定されています。そのサンヨウブシがちょっとヘンです。緑色の大きな葉っぱが見られません。花以外の部分が真っ黒です。葉っぱは黒変して枯れています...
山雀とエゴノキ
- 2020/09/25
- 21:00

我が家の庭のエゴノキが今年は豊作です。5月にたくさんの花を咲かせたので、今年はたくさんの果実がなりました。鈴なりです。エゴサポニンという毒を含んでいて、エグいからエゴノキというそうです。でも、わざわざそのエグい果実を食べに来る小鳥がいます。ヤマガラです。きょうは3羽のヤマガラが来ていました。くちばしで果実をとってから、ちょっと太めの水平な枝に移動します。脚に果実を挟んで、くちばしで器用に有毒な果皮...
露草の受粉
- 2020/09/24
- 21:00

ツユクサ(露草)の花はとっても面白いので、3日連続ですがおつきあいください。朝露に濡れたツユクサの群落でコマルハナバチを見つけました。ツユクサには蜜腺がありません。だから、コマルハナバチの目的は花粉です。次から次へと花を飛び回って花粉を集めます。後脚には花粉団子をつけています。コマルハナバチが「二段咲き」のツユクサにやって来ました。X、Y、Oの3種類の雄しべのうち、最も花粉量の多いO雄しべが頭に触...
続・二段咲き露草
- 2020/09/23
- 21:00

昨日の「二段咲きツユクサ」の続編です。「一段咲き」と「二段咲き」の違いは、花の下の苞の中を覗いてみると見えてきます。↓わかりやすいように手前の苞を取り除いてみました。↑これが「一段咲き」のツユクサです。苞の基部で、上方に伸びる柄と側方(↑この写真では左側)に伸びる柄の2つに分かれています。上方に伸びる柄には花がついていません。側方に伸びる柄には、いま咲いている花と、きのう咲いた花と、つぼみが2個あり...
二段咲き露草
- 2020/09/22
- 21:00

9月6日付で「ツユクサ(露草)の雄しべのXYO作戦(→詳細はこちら)」を紹介しました。きょうは「二段咲きツユクサ」に注目です。ツユクサの群落をじっくり観察すると、上下に2つの花が咲いているのを見つけることができます。「二段咲き」の割合は、全体の1割もないと思います。多くはありませんが、四つ葉のクローバーを見つけるよりも楽に、かなり高い確率で見つけられます。よく見ると、下側の花には雄しべ・雌しべが揃...
釣船草と虎丸花蜂
- 2020/09/21
- 21:00

近くの山裾のツリフネソウ(釣船草)の群落がいま花盛りです。ツリフネソウは、ちょっと湿り気のある日陰がお気に入りのようです。不思議な形の花がいっぱいぶら下がっています。朝、開花したばかりの花は傷ついていなくて綺麗です。下側の花びらが大きく膨らんで、ガクが変化した距(きょ)がクルクルと渦巻きになっています。この距に蜜がたまります。花を正面から見ると、花の中に上からぶら下がっているのが雌しべと雄しべ。訪...
曼珠沙華
- 2020/09/20
- 21:00

昨年は彼岸の中日になってもヒガンバナ(彼岸花)が咲かず、なぜか1週間ほど遅れました。猛暑日続きの今年はどうなるのかと思いましたが、例年通りにヒガンバナが咲き始めています。季節は確実に移り変わっています。最近は、秋分の日が9月23日であることが多いのですが、そう決まっているわけではありません。太陽が秋分点を通過する日なので、今年は閏年ということもあって9月22日です。9月の第3月曜日と決められている敬老...
丸葉縷紅は自家受粉?
- 2020/09/19
- 21:00

道端に濃いオレンジ色のマルバルコウ(丸葉縷紅)の花が咲いています。フェンスなどに絡みついて伸びるヒルガオ科のつる植物です。花は小さなアサガオのような形で、五角形です。熱帯アメリカ原産で、江戸時代の末期に観賞用に渡来したそうです。アサガオのような果実ができて、その中の種子で殖えていきます。繁殖力が旺盛で、西日本ではかなり広がっているようです。温暖化の影響で東北にも徐々に進出しているとか。雌しべ1本、...
八五郎坊主の鶏頭
- 2020/09/18
- 21:00

上方落語に「八五郎坊主」という秋のネタがあります。特に桂枝雀師匠の「八五郎坊主」は、笑いが多いだけでなく、音の描写、風の描写など、大好きです。でも、1箇所だけ腑に落ちないところがあります。それは、八五郎が下寺町のずく念寺さんにやって来る場面です。『大ぉきなイチョウの木がございます。尊いお寺は御門からと申しまして、立派な御門を内らへ入りますというと、片方(かたえ)には釣鐘堂、板石が敷き詰めてございま...
四川萩と虎丸花蜂
- 2020/09/17
- 21:00

曇りの日には、それなりにボヤーッとした写真もいいかなと思います。ウォーキングコースにある畑の端でシセンハギ(四川萩)の花が咲いていました。果実の形がヌスビトハギに似ているので、別名ハナヌスビトハギともいうそうです。水彩画っぽい写真になりました。雌しべ・雄しべが花びらに包まれずに露出していて、マメ科の花らしくありません。ヌスビトハギよりもはるかに大きな花を咲かせています。トラマルハナバチがやって来ま...
小粒でピリリと
- 2020/09/16
- 21:00

サンショウ(山椒)の果実が赤く熟しました。私も含めて周りの人は皆、サンショと呼びますが、正式和名はサンショウです。山にも自生しています。これは畑に植えられた朝倉山椒で、トゲがありません。朝倉山椒は兵庫県養父市八鹿町朝倉が発祥の地です。昔は、大名から将軍に献上された超高級品だったそうです。養父市の道の駅「但馬蔵」に行けば、朝倉山椒ロールケーキ、朝倉山椒うどん、山椒チョコソフトクリーム、…いろいろあり...
身近な蝶たち
- 2020/09/15
- 21:00

きょう、我が家の庭や周辺で出会った蝶たちです。珍しい蝶ではありません。ごく見慣れた、どこにでもいる蝶たちです。見慣れているということは、種として繁栄しているわけで、それなりに理由があります。ニラの花の蜜を吸うイチモンジセセリ(一文字挵)です。可愛い顔をしています。幼虫の食草は、おもにイネやススキなどのイネ科の植物です。こちらはモンキチョウ(紋黄蝶)。幼虫の食草は、シロツメクサなどのマメ科植物です。...
よじ登る蔦
- 2020/09/14
- 21:00

きょうは我が家のブロック塀のツタ(蔦)です。放っておくとすぐに建物に張り付くように伸びてきて、なかなか厄介です。↑日当たりのいい南側は葉っぱの付き方が密で、茎がほとんど見えません。↓西側のほうは葉っぱの間隔が広くて茎がよく見えます。葉っぱが3枚の小葉に分かれているものと、1枚のものと、中途半端な2枚のものがあります。つる植物には、いろいろなタイプのものがあります。アサガオやフジのように茎が支柱に巻き...
山法師ジャム
- 2020/09/13
- 21:00

9月になると、毎年、我が家のヤマボウシ(山法師)が実ります。ヤマボウシの果実が実ると、いまは天国の愛犬ランを思い出します。庭に出ると、まっしぐらに走って行って落ちた果実を丸ごと食べていました。赤く熟した果実を食べに、ヤマガラ、ヒヨドリなどがやって来て賑やかです。イヌも鳥たちも大好きな果実です。ヒトも食べられるとは聞いていましたが、これまで食べたことがありませんでした。そこで、ネットで調べて、ヤマボ...
出石鶴見橋から
- 2020/09/12
- 21:00

豊岡市出石町の出石鶴見橋(県道2号)から上流側を見た風景です。円山川は近畿地方で最も生物相が豊かな一級河川です。その支流の出石川もさまざまな多くの生命を育んでいます。出石鶴見橋の「鶴」はおそらくコウノトリ(鸛)のことだと思います。川幅が広く浅いので餌を採りやすいのでしょう。たくさんのサギたちが集まっていました。けっこう密です。ダイサギ(右上)、チュウサギ(左上)、コサギ(左下)、アオサギ(右下)の...
金水引の作戦・前編
- 2020/09/11
- 21:00

水引は両端を持って引いてもほどけません。リボンのようなほどくためのラッピングではなくて、人と人を結びつけるという意味が込められています。中でも、「金・銀」や「赤・白」はおめでたいときに使われます。黄色く並ぶ花を、縁起のいい金の水引に見立てたのが、このキンミズヒキ(金水引)です。たくさんの黄色い花を下から上へ咲かせていきます。つまり、いま開花している花よりも上のほうはつぼみ、下のほうは果実になろうと...
そして誰も・・・
- 2020/09/10
- 21:00

8月5日に、巣を見つけたキボシアシナガバチ(黄星脚長蜂)のその後です。川沿いのアジサイの葉っぱの裏側に巣をつくっていました。キボシアシナガバチは集団生活をしています。昼間は忙しく巣に出入りしていますが、夜には巣のメンバーがみんな巣に帰ってきて休みます。そこで、彼女らの出勤前の早朝5時半頃に個体数を数えることにしました。↑8月17日の巣の様子です。個体数は22匹、そのうち5匹が雄です。雄は顔が白いので簡...
薮枯らしと青条揚羽
- 2020/09/09
- 21:00

昔は防虫剤と言えば樟脳(しょうのう)でした。タンスから出してきた服には樟脳の匂いがついていたものです。それが、ナフタレンやパラジクロロベンゼンなり、近頃はピレスロイド系の無臭の化学物質が主流です。いま、高校生に樟脳などと言ってもまったく通じません。さて、その樟脳はクスノキから採ります。クスノキが虫に葉っぱを食われないようにつくり出した物質です。なのに、そんなクスノキの葉っぱを幼虫の食草にしている大...
和蘭薄荷で快眠
- 2020/09/08
- 21:00

いくぶんマシになりましたが、まだ猛暑日、熱帯夜が続きます。早朝のウォーキングで、土手に生えているオランダハッカ(和蘭薄荷)の傍を通りました。近づくだけでメントールのいい香りに包まれます。爽快なガムの、あのメントールの香りです。匂いを感じるだけで涼しくなります。皮膚に冷たさを感じるセンサーがあって、メントールがそれを刺激するからだそうです。このセンサーはTRPA1と呼ばれています。メントールそのもの...
野良韮
- 2020/09/07
- 21:00

季節は確実に進んでいるようで、土手にニラ(韮)の花が咲き始めました。本来の野生のニラなのか、畑から逃げ出して野生化したものか、区別できないのだそうです。つまり、どっちであろうと食べられます。1本の花茎を真っ直ぐに伸ばして、その先に真っ白な可愛い花をたくさん咲かせます。花びらが6枚に見えますが、よく見ると形が2種類あります。ちょっと幅が広い3枚が花びらで、幅が細い3枚がつぼみを包んでいた苞(ほう)で...
露草のXYO作戦
- 2020/09/06
- 21:00

道端に咲くツユクサ(露草)です。初夏から秋まで長く見られる花ですが、1つの花は朝咲いて午後にはしぼんでしまいます。きょうは、このツユクサの雄しべに注目です。青色の花びらとのコントラストで最も目立つのは黄色い雄しべ。Xのような形をしています。その下、中央の雄しべはYの字を逆さまにしたような形をしています。さらにその下に、雌しべと同じくらい長く伸びた2本のOの字の雄しべがあります。最も花粉を多く生産し...
蝶を呼ぶ房藤空木
- 2020/09/05
- 21:00

ご近所の畑に植えてあるフサフジウツギ(房藤空木)の花を撮らせてもらいました。6月頃から咲いています。強烈な陽射しの下でも、平気で小さい花をいっぱい咲かせています。暑さにも乾燥にも強そうな植物です。別名、バタフライブッシュと呼ばれます。とてもいい香りがします。香りに誘われて、この花にチョウが来ているのをよく見かけます。長い花筒の奥に蜜がいっぱいあるのでしょう。カラスアゲハが口吻を伸ばしていました。青...
雄性先熟の仙人草
- 2020/09/04
- 21:00

地球温暖化によって台風の発生数は減少しますが、それぞれの台風が強大になるそうです。近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした台風21号が来たのが、2年前のきょう(9月4日)でした。今年はまだ10号。でも、かなり猛烈な台風のようです。お互いに気をつけましょう。道端にセンニンソウ(仙人草)の白い花のかたまりが目立ちます。つる性の植物ですので、絡みつくものがあると立ち上がって覆ってしまいます。絡みつくものがない...
咲き始めた水葵
- 2020/09/03
- 21:00

出石の谷山川のミズアオイ(水葵)が咲き始めました。きのう紹介したコナギとよく似ていますが、ミズアオイの方が全体に一回り大きい感じです。・・・というより、ミズアオイの別名がナギ(菜葱)で、ナギより小さいからコナギ(小菜葱)です。いずれにしても、イネと一緒に伝来してきた水田雑草だったのです、本来は。ところが、このミズアオイが除草剤などでどんどん減少していって、いまや絶滅危惧種。兵庫県レッドデータでAラン...
水田雑草・小菜葱
- 2020/09/02
- 21:00

ビオトープで、ホテイアオイやミズアオイのような青紫色の花を見つけました。花の大きさはホテイアオイよりもずっと小さい、コナギ(小菜葱)という水田雑草です。雄しべが6本あるのですが、そのうち5本の葯は黄色で、1本だけ葯が青紫色です。これはミズアオイにも共通の特徴です。黄色の葯は目立ちますが、青紫色の葯は花びらと同じ色で目立ちません。黄色の葯が昆虫を誘います。そして、その花粉を食べている間に・・・青紫色の...
裏見草の知恵
- 2020/09/01
- 21:00

きょうから9月。そろそろ涼しくなってもいいのに、まだ猛暑日が続いています。せめて気分だけでも秋に!ということで、きょうは秋の七草の1つ、クズ(葛)です。クズ(葛)の別名をウラミグサといいます。昔はさまざまな用途でお世話になったクズですが、現代は完全に雑草扱い。そんな扱いを恨んで「恨み草」・・・ではなくて、「裏見草」です。きょうは、花ではなくて葉っぱに注目です。↑これは朝6時のクズの葉っぱ。一方、↓こち...