一夜の花、黄烏瓜
- 2020/06/30
- 21:00

一夜だけ咲く花、キカラスウリ(黄烏瓜)の花が咲く季節になりました。昨日から今朝にかけて、つぼみから開花のようすを追いかけてみました。朝10時頃。今夜、この花が咲きそうです。子どもの頃、風呂あがりに「てんかふん(天花粉、天瓜粉)」のお世話になりました。ベビーパウダーの原料はコーンスターチ。すなわち、トウモロコシの粉です。では、昔のてんかふんの原料は? それがこのキカラスウリの塊根のデンプンなのです。知...
栗は虫媒花?
- 2020/06/29
- 21:00

クリはブナ科の植物です。ブナ科の植物には、ブナ、クヌギのような風媒花とクリのような虫媒花があると言われています。↓これは20日前のクリの花。ブラシのように見えるのは雄花の集まりです。花びらはありません。雄花は独特の匂いと蜜で昆虫を誘います。↑こちらは誘われてやって来たハエの仲間。↓こちらはアリたち。雄花には、ほかにも甲虫の仲間やハナバチたちもやって来ます。クリではアリたちをたくさん見かけますが、花粉の...
地味な南天の花
- 2020/06/28
- 21:00

冬に赤い果実がとっても目立つナンテン(南天)ですが、花は地味です。いま、白い花を咲かせています。地味でも昆虫には人気があるようで、小さな花に合わせたように小さな昆虫たちがやって来ます。↑こちらはミナミヒメヒラタアブ、↓こちらはヒメハナバチの仲間だと思います。つぼみはたくさんのガク片に被われていますが、ガク片は開花すると落ちてしまいます。花の中央にボーリングのピンのような形の雌しべが1本。そのまわりに...
西洋紫陽花の隠れ花
- 2020/06/27
- 21:00

日本のガクアジサイがヨーロッパに渡ってさまざまな園芸品種になりました。そして、手まり咲きと言われるセイヨウアジサイが誕生し、日本に里帰り。いま、あちこちで咲いています。ガクアジサイでは周辺だけにあった装飾花が中心部まで広がり、本来の両性花が見えません。でも、セイヨウアジサイに両性花がないのかというと、そうではありません。装飾花の内側にこっそり隠れて咲いています。水不足で装飾花が萎れたときに見ると、...
額紫陽花の花
- 2020/06/26
- 21:00

アジサイにはいろいろなタイプのものがあります。それらはすべて日本に自生する野生種をもとにしてつくり出された園芸品種です。本来のアジサイに近いのがガクアジサイです。ガクアジサイはたくさんの花の集まりで、周辺部の装飾花が額縁のようだというので額紫陽花。装飾花の花びらのように見えるのはガクです。中央に雌しべと雄しべがそろった両性花とたくさんのつぼみがあります。両性花には5枚の花びらもありますが、雄しべよ...
変わり者の紫片喰
- 2020/06/25
- 21:00

木陰になった道端にムラサキカタバミ(紫片喰)の花がポツンポツンと咲いています。南米原産の帰化植物です。ハート形の葉っぱをした可愛い花ですが、環境省の要注意外来生物に指定されています。オオキンケイギクほど在来種に影響を及ぼすことはないようですが、繁殖力は旺盛です。雌しべの花柱5本、雄しべ10本。葯は白色です。10個も葯があるのに花粉がつくられません。だから、種子ができません。もっぱら鱗茎(球根)の間にで...
睡蓮池の蜻蛉
- 2020/06/24
- 21:00

スイレン(睡蓮)の花が咲く池で見つけた2種のトンボ(蜻蛉)を紹介します。トンボには春早く羽化してくるものやちょっと遅めに羽化してくるものがいます。↑こちらが早く羽化するクロスジギンヤンマ。春のヤンマです。4月に一斉に羽化して、交尾を終えたいまごろ、雄はもう姿を消してしまいます。雌だけがちょっと長く生き残り、こうして水面近くの水中の植物に産卵します。よく産卵のとき雄が雌の頭を捕まえているトンボがいま...
2020紫陽花巡り・その5
- 2020/06/23
- 21:00

「あじさい寺」とも呼ばれる豊岡市竹野町須谷の円通寺に行ってきました。但馬守護・山名時義(やまな・ときよし)、山名時熙(やまな・ときひろ)父子が創建したというお寺です。赤穂浪士の大石良雄(おおいし・よしお)の次男・大石吉之進(おおいし・きちのしん)が出家したお寺として有名なのだそうです。私は知りませんでしたが…^^以前は、参道の両側にたくさんのアジサイがあったのですが、かなり少なくなっていました。本堂...
父の日の鸛
- 2020/06/22
- 21:00

きのうは父の日でした。そこで、コウノトリ(鸛)のベテランお父さんを紹介します。豊岡市野上の田んぼで餌を採るコウノトリ。足環から今年4月にケガをしたJ0001とわかりました。祥雲寺放鳥拠点で生まれ、その後、放鳥された14歳の雄です。4月24日に蔓が絡まっていたそうで、保護され、コウノトリの郷公園で治療を受けていました。「日本コウノトリの会」のHPによると、5月9日に治療を終えて解放されたそうです。J0001が治...
2020紫陽花巡り・その4
- 2020/06/21
- 21:00

玄武洞のアジサイを見に行ってきました。かつては駐車場のところからアジサイが咲き誇るアジサイの名所だったのです。ところが最近は、シカの食害でほぼ壊滅状態になっていました。そこで、3年前から残っていたアジサイを挿し木で殖やす取り組みが行われてきたそうです。いまは400株ほどが育っているようですが、まだまだ以前のような華やかさはありません。シカの食害から守るために金網で保護されているため、写真映えはしませ...
蓼喰う虫
- 2020/06/20
- 21:00

「蓼喰う虫も好き好き」という諺があります。好みは人それぞれ異なるということですが、この場合のタデは不味いものの代表になっています。ベニシジミ(紅小灰蝶)の幼虫は、スイバやギシギシなどのタデ科の植物を食草としています。だから、ベニシジミは「蓼喰う虫」の1種です。でも、イタドリもソバもタデ科の植物ですから、我々だって「蓼喰う虫」かもしれません^^さて、↑これがいまのベニシジミ。夏型です。全体的に黒っぽく...
2020紫陽花巡り・その3
- 2020/06/19
- 21:00

極楽のごく短い小噺を一席。「あのよぉ・・・」これでオシマイ!↓こちらは、極楽のアジサイ(紫陽花)です。極楽というのは地名です。兵庫県朝来市山東町森字極楽108番地。「108」というのも煩悩の数ですので、こしらえたような番地ですが、ホンモノの所在地です。そこに建っているのが「よふど温泉・極楽の湯」。温泉のシンボルの水車を背景にアジサイを撮ってみました。以前は、建物の脇の斜面にもっとたくさんのアジサイがあったよ...
銚子ヶ谷湿原の杜若
- 2020/06/18
- 21:00

妙見山から蘇武岳の頂上付近を通る蘇武林道を走ってきました。蘇武岳(海抜1074m)を過ぎてすぐのところに銚子ヶ谷(ちょうしがたに)湿原があります。ここにカキツバタ(杜若)の大群落があり、いまが見頃です。山頂近くに約15haもの湿原があることも驚きです。国内でも屈指の大規模なカキツバタ群落で、兵庫県の天然記念物に指定されています。シカの食害から湿原の植物を守るため、網で囲まれて保護されています。めいっぱい近...
2020紫陽花巡り・その2
- 2020/06/17
- 21:00

アジサイの名所巡りの第2弾は、丹波市氷上町の円通寺です。足利義満が創建したという曹洞宗の古刹です。秋には紅葉の名所として観光バスもやって来ますが、いまはとっても静かな境内です。駐車場から山門までの参道にたくさんの種類のアジサイが植えられています。いまは白色、淡いピンク色、淡い紫色、青色が中心です。木漏れ日のスポットライトを浴びたような白い八重のガクアジサイが印象的でした。1日1回、↓ポチッとお願い...
山の山法師
- 2020/06/16
- 21:00

我が家のヤマボウシ(山法師)はかなり散ってしまいましたが、山のヤマボウシはまだ真っ白です。日当たりのいい山の谷筋に自生しています。4枚の花びらに見えるのは総苞片です。花は中央の緑色の塊です。よく見ると、小さな花が集まっているのですが、いまはもう雄しべも花びらも散ってしまいました。ヤマボウシの花は年によって多いときと少ないときがあります。花芽は前年の夏に形成されるので、夏の降水量が翌年の花の数に影響...
蛍袋の雄性先熟
- 2020/06/15
- 21:00

きのうに続いて、ホタルブクロ(蛍袋)の花です。ホタルブクロのつぼみと開花した花と終わった花を並べてみました。開花するとき、花びらが一気にずいぶん大きく成長するのがわかります。これらの花をそれぞれ切って、内部を覗いてみました。↑つぼみの内部です。この段階ではポリネーター(花粉媒介者)は花の内部に入れません。しかし、すでに雄しべの葯が大きく発達をしていて、その中央に未熟な雌しべを包んでいます。ホタルブ...
釣鐘型の蛍袋の作戦
- 2020/06/14
- 21:00

ホタルの季節に合わせたように、ホタルブクロ(蛍袋)の花が咲いています。林の縁の道路脇にいっぱい咲いておりました。可愛らしい花ですが、2・3日すると茶色く変色してきて綺麗とは言いにくい姿になります。綺麗そうなところを選んで撮影します。ホタルブクロのポリネーター(花粉媒介者)は、ホタルではなくてハナバチです。釣鐘のような形をしているのは、ポリネーターをハナバチに限定するための作戦です。この形にしておけ...
2020紫陽花巡り・その1
- 2020/06/13
- 21:00

梅雨らしく1日中雨。こんな日はアジサイ(紫陽花)を撮りに行こうと思い、福知山市の丹州観音寺へ。雨が降る中、思ったより多くの方が参拝されておられました。丹州観音寺は、「関西花の寺二十五ヵ所霊場」の第一番になっています。別名・あじさい寺。約1万株のアジサイが植えられています。雨の日もまた良し!です。今年は、近隣のアジサイの花の名所を巡ってみようかと思います。1日1回、↓ポチッとお願いします。大変励みになっ...
木天蓼の雌花は存在するか
- 2020/06/12
- 21:00

きのうに続いて、きょうもマタタビ(木天蓼)の写真です。マタタビは雌雄異株。雄株と雌株があります。↓これが雄株の雄花です。マタタビは別名、夏梅と呼ばれるくらいで、ウメの花に似た花びら5枚の花を咲かせます。しかし、↑花びら6枚の花もありました。雄花には雄しべだけがたくさんあります。一方、雌株には両性花がつきます。花の中央に立派な雌しべ。そのまわりに多数の雄しべがあります。雌しべの花柱はたくさんに分離して...
看板の白い花
- 2020/06/11
- 21:00

「看板の一(ぴん)」というサイコロ博打の落語があります。壺皿の外にピンのサイコロを見せておき、皆がピンに賭けると、「これは看板や」と片付けます。「表に看板があって、ほんまもんのサイは壺の中にある!」元博打打ちの親っさんの巧妙な技が登場する楽しい噺です。その「看板の一」を連想させるのが、マタタビ(木天蓼)です。いま、山で一番目立ちます。マタタビは他の樹木を足場にして蔓を伸ばし、樹木に覆い被さっていき...
昼も夜も誘う
- 2020/06/10
- 21:00

一昨日、受粉の前後で色が変わるハコネウツギ(箱根空木)を紹介しました。ハコネウツギはスイカズラ科の植物で、本家のスイカズラ(吸い葛)も色が変わります。別名、金銀花。林の縁、道端に見られます。たいてい2つずつ花が並んで咲きます。白い花が新鮮な花です。雄しべの葯から花粉がこぼれだしています。受粉を終えると、あるいは時間が経つと、花の色が黄色に変わります。ヒメハナバチの仲間がやって来ました。黄色い花には...
檸檬色の花蜂
- 2020/06/09
- 21:00

イボタノキ(水蠟樹)の花にレモン色のハチを見つけました。コマルハナバチ(小丸花蜂)の雄です。コマルハナバチの働き蜂は、このブログにもたびたび登場してもらっています。その生態の概要は以前にご紹介しました。お時間がありましたら、→こちらをご覧ください。春から盛んに飛び回っている黒色の働き蜂とはまったく異なり、雄はレモン色です。腹部の端がオレンジ色なのは働き蜂と共通ですが、とても同じ種類とは思えません。...
箱根空木の色変わり作戦
- 2020/06/08
- 21:00

赤色、白色、ピンク色のハコネウツギ(箱根空木)の花が賑やかに咲いています。ピンク色のタニウツギの仲間です。ハコネウツギ(箱根空木)の花の色は、白色→ピンク色→紅色と変化します。ニシキウツギ(二色空木、錦空木)もよく似ていて、同じように色が変わります。海岸近くに自生するのがハコネウツギ、山に自生するのがニシキウツギ。だから、箱根山にはハコネウツギが少なく、ニシキウツギのほうが多いのだそうです^^そうは言...
鼠黐の作戦
- 2020/06/07
- 21:00

ネズミモチ(鼠黐)の真っ白な花が咲き始めました。何となく、この花が咲くと梅雨入りのような気がしています。照葉樹林の中の代表的な陽樹の低木として、教科書にも登場してきます。森林の伐採の跡、山火事の跡などによく見られると書いてあります。でも、一番よく見かけるのは公園の生け垣です^^1つひとつの花はとっても小さくて、花びら4枚、雄しべが2本だけです。その2本の雄しべが、イラストで描くアリの触角のように花か...
小籠に摘んだは
- 2020/06/06
- 21:00

♪山の畑の 桑の実を 小籠に摘んだは まぼろしか・・・童謡「赤とんぼ」に登場するクワの実が↑これ。Y高校の駐車場の横でいまたくさんの果実をつけています。養蚕学校であった歴史を持つ伝統校なので、100周年のときに樹齢約100年のマグワが移植されました。いまは樹齢約120年のはずですが、ほんとに120年かどうかは切って年輪を数えないとわかりません。ふつうは葉っぱを収穫しやすいように低く剪定するのですが、伸び放題でなか...
下野の花
- 2020/06/05
- 21:00

ほんとは「下毛野国(しもつけののくに)」だったのが、「下野国(しもつけのくに)」になったのだそうです。いまの栃木県です。書くときには「毛」が消えて、読むときには「の」が消えたんですね。その下野国で発見されたというシモツケ(下野)の花がいま綺麗に咲いています。発見されたのは栃木県でも、分布は本州~四国・九州と広いのです。氷ノ山にも自生していますが、シカの食害でかなり減っているようです。兵庫県ではレッ...
卯の花
- 2020/06/04
- 21:00

落語「鹿政談」の中で、豆腐の絞りかす「おから」の別名が登場します。「おから」のことを、関西では「きらず」、関東では「うのはな」と言うと紹介します。これを言っておかないとサゲがわからないので、たいていの演者がマクラでこれを言います。豆腐は切って使いますが、おからは切らないので「きらず」です。・・・これはわかりやすいのですが、「うのはな」のほうがいまいちピンときません。卯の花みたいに白くてパラッとしてい...
烏揚羽と山躑躅
- 2020/06/03
- 21:00

4月から山を彩ってきたヤマツツジの花もそろそろ終わりの季節です。カラスアゲハが来ていましたが、落ち着きなく、次から次へと花を飛び移っていました。きっともう蜜の分泌量が少ないのでしょう。昆虫採集が大好きだった子どもの頃、捕虫網を片手にカラスアゲハを追いかけた記憶があります。追いかけて追いかけて、やっとカラスアゲハが止まったのがウシの糞の上でした。すくい上げて見事にカラスアゲハを捕らえたものの、捕虫網...
発見!緑色の虻
- 2020/06/02
- 21:00

ハナウドは面白い形の花を咲かせます。小さな花がたくさん集まってひとかたまりになります。そして、内側の花より縁の花が大きいのです。さらに、その縁の花の外側の花びらが他の花びらより大きいので、豪華な飾りに見えます。それにいい香りがします。ハナウドのデザインや香りに誘われて、たくさんの昆虫たちが集まってきます。初めは↑写真中央の丸い腹部のマルボシヒラタヤドリバエに目がいきました。カメムシに寄生する、ちょ...
車輪梅に来る昆虫たち
- 2020/06/01
- 21:00

Y高校の前庭のシャリンバイ(車輪梅)が満開です。本来は潮風に強い海岸植物ですが、大気汚染にも強いというので道路の分離帯にも植栽されています。艶のある葉っぱが綺麗なので庭や公園でもよく見かけます。蜜や花粉が美味しいのでしょう。シャリンバイには、たくさんの昆虫たちが集まって来ます。↑こちらはお馴染みのニホンミツバチ。花粉団子が重そうです。花粉団子は、巣に持ち帰って幼虫たちの餌にします。↑ヒメハナバチの仲...