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記事一覧

個性的な山延胡索

春の妖精(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる植物はたくさんあります。ケシ科の中で春の妖精と呼ばれるのが、このヤマエンゴサク(山延胡索)。 花びらは4枚ですが、上側の花びらが大きく、後ろに突き出して距(きょ)をつくっています。距の中に蜜線があって蜜を分泌します。蜜を求めてやって来たハナバチたちは、花の奥まで頭を突っ込んでいきます。そのときに花粉をハチのからだにくっつけ、運ばせようという作戦です。 ...

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日本のチューリップ?

小佐川沿いの桜並木の中に、私が勝手に標準木と決めているソメイヨシノがあります。それが今朝、5輪以上花を開いていましたので、当地の桜の開花を宣言します^^東京都心より9日遅れ、神戸より3日遅れの開花です。 さて、春の妖精と呼ばれる花がまだまだ続きます。どこか洋風で園芸品種のようですが、落葉樹の林床などに生える日本の固有種。ヒロハノアマナ(広葉の甘菜)です。牧野富太郎さんの命名と聞きました。 球根が甘くて...

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里山と片栗

きょうも春の妖精の代表的な植物です。丹波市氷上町清住のカタクリ(片栗)の自生地に行ってきました。近畿地方では珍しいカタクリの群生地です。 気温が高くなると花を開き、花びらが反り返ります。陽が当たっているところはよく反り返っていますので、それがよくわかります。 クヌギの林ではありますが、落葉樹ですので、この時期は林床までよく陽が当たります。クヌギが葉っぱを茂らせるまでにさっさと光合成をして栄養を蓄え...

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一輪ずつ咲く二輪草

春の妖精と呼ばれる花が続きます。きょうは、その代表とも言えるニリンソウ(二輪草)です。 1本の茎から2本の花茎が伸びてそれぞれ1輪ずつの花をつけるのでニリンソウ。でも、いまの時期、上の写真のような2輪が咲いたものは少なくて、たいてい片方はつぼみです。 2輪の花の開花時期をずらすことによって、受粉可能な期間を延ばそうということでしょう。昆虫の少ない時期に花を咲かせるニリンソウの作戦だと思います。ところで...

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三づくしの延齢草

いかにも薬草というような名前のエンレイソウ(延齢草)です。キクザキイチゲの脇に咲いていましたが、うっかり見逃すところでした。 春の妖精と呼ばれるものの1つではあります。しかし、花があまりに地味です。特にいい香りがするわけでもなく、この地味な花に昆虫はやって来るのでしょうか? 花弁はなくて濃い紫色のガクがあります。大きな菱形に近い葉っぱは葉柄がなく、茎に直接くっついています。 葉っぱが3枚、ガク片3...

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妖精開花!菊咲一華

春の妖精の1つ、キクザキイチゲ(菊咲一華)です。先日ご紹介したアズマイチゲやユキワリイチゲと同じイチリンソウの仲間です。 気温が上がってきたためか、前日はうつむいていたキクザキイチゲが見事に開いてくれました。すぐそばでアズマイチゲはまだ花をすぼめてうつむいているのに。 花びらに見えるのはガクですが、白色~紫色までガクの色にかなり変異があります。篠山市大山宮のキクザキイチゲは淡い紫色で、とっても上品...

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苔の目玉おやじ

近くの神社の石垣の上にタマゴケ(玉苔)を見つけました。寒い間は見られなかったタマゴケのタマがたくさん付いています。 上を覆う木々が葉っぱを茂らせる前の早春にコケは新芽を出し、青々と輝いています。このモフモフ感がいいのか、タマゴケは苔を育てている人に大変人気があるのだそうです。 横から見たときのタマを持ちあげたような姿が可愛いなと、僕は思います。タマの部分は朔(さく)といいます。直径は約2mm。その下...

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朝寒の東一華

昨夜、寝ている間に雪が降ったようで、今朝は屋根が白くなっておりました。そんな肌寒い朝、神戸に向かう途中、篠山市大山宮に立ち寄ってみました。アズマイチゲ(東一華)などの春の妖精たちに出会うためです。 アズマイチゲが白い花を咲かせていました。しかし、どの花も花びらをすぼめてうつむいたまんま。パッと開いてくれてはいませんでした。 それはそれで清楚な立ち姿で美しいのですが、やはりパッと開いたところを撮りた...

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金になる木

紙幣というのは字のごとく紙製かと思ったら、外国にはプラスチック製の紙幣が多いのだそうです。プラスチック製のほうが偽造がしにくいためです。日本の紙幣は紙製ですが、かなりハイテクで偽造しにくいようにさまざまな工夫が施されています。折りたたみやすいし、水にも強いです。洗濯機で洗ったって平気ですから。その日本の紙幣の主な原料がこれ。ミツマタ(三椏)です。 朝来市佐嚢の神子畑選鉱場跡に向かう道路脇のスギ林の...

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小さな赤い実の苔

きのうとは打って変わって、きょうは冬に逆戻りです。きょうの最高気温はきのうより13度も低いそうです。 南の方からソメイヨシノ開花の声が聞こえてきますが、我が家の近所のソメイヨシノはこの状態。きのうの陽気でふくらみかけた蕾がびっくりして縮こまっています。散歩の途中、朽ちかけた板の上にコアカミゴケ(小赤実苔)を見つけました。 小さな赤い実をつけた苔というわかりやすいネーミングです。でも、コケではなくて地...

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悪しき実

きょうは春分の日、彼岸の中日です。お墓参りのときに持参してお供えするのがシキミ(樒)です。我が家のほうではシキビと言いますが、シキミが訛ってシキビだと思います。 シキミはいまが花盛り。淡い黄色の花を咲かせています。優しい色合いですが、シキミの実は植物で唯一劇物に指定されているくらい有毒です。「悪しき実」のアが取れてシキミとなったとか。ホントかどうかは知りません。実だけでなく、花も葉っぱも根も茎も有...

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雪なしの座禅草

この冬は冬タイヤにしてよかったと思ったことがたった1回だけ。雪かきも1回やっただけです。過去に記憶がないくらい雪の少ない今シーズンでした。雪の少なさは植物たちにも大きな影響を及ぼしているようです。 昨年より2週間早くザゼンソウ(座禅草)が顔を出したと聞き、香美町村岡区大笹に行ってきました。自生地は標高約700m、ハチ北スキー場の駐車場のすぐそばです。スキー場のリフトは動いておりましたが、ザゼンソウ自生地...

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大山宮の雪割一華

きのうに続いて、ユキワリイチゲ(雪割一華)です。きょうは篠山市大山宮の追手神社のユキワリイチゲ。きのう紹介した篠山市泉のユキワリイチゲの自生地より、こちらのほうがよく知られています。 地元の方に大事に保護されています。まわりに他の植物が少ないため、花茎がすっくと立っている姿がよくわかります。花びらのように見えるガク片の数は、10数枚のものが多いようです。篠山市泉の群落のような20枚を超えるようなものは...

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雪割一華の大群落

篠山市城東支所の近くの泉橋の下流側にユキワリイチゲ(雪割一華)の群落があります。ポツンと一輪、二輪咲いていても可愛いのですが、これだけ大きな群落になると感動ものです。 ユキワリイチゲは日本の固有種で、分布は近畿地方以西とのことです。 遠くから見ると白い花に見えますが、近づくと淡い紫色を帯びていて上品で清楚。葉っぱは濃い緑色で白っぽい斑が入っています。葉っぱの裏側は紫色です。 ユキワリと言っても雪の...

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椿、いろいろ

ツバキ(椿)は照葉樹林の代表的な樹木で、日本原産です。日本人は古くからツバキの花や葉っぱを愛でてきました。茶道でも珍重され、さまざまな品種がつくり出されてきました。 ツバキの花の色は本来は濃い赤色ですが、白いツバキもあります。これ↑は加茂本阿弥(かもほんなみ or かものほんあみ)と呼ばれる品種。白の一重で、花期は2~4月です。 こちら↑は赤色に白斑が入った慶雲(けいうん)という品種。花期は3~5月。大...

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林縁の山猫の目草

昨年までは気づかなかった場所にヤマネコノメソウの群落を見つけました。車道のすぐそばの林縁で、「なんだ、こんなところにいたのか!」というような所です。 ネコノメソウの仲間は日本で見られるものだけでも14種類もあるそうです。その中で、このヤマネコノメソウと昨日ご紹介したネコノメソウが最もポピュラーな仲間です。 ヤマネコノメソウとネコノメソウはそっくりです。違いは葉っぱの付き方。ヤマネコノメソウは互生、ネ...

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水辺の猫の目草

春の訪れが早いのでヤマネコノメソウの様子を見に行きましたが、咲いているのはまだ1株だけ。やはり、もう少し待って撮ろうと思いながらの帰途、ネコノメソウ(猫の目草)を見つけました。水辺に群生していました。 たいてい陽当たりのあまりよくない水がチョロチョロ流れているようなところに生育しています。ヤマネコノメソウとネコノメソウはよく似ていますが、葉っぱの付き方に注目です。ヤマネコノメソウは互い違いに葉っぱ...

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我慢の土筆

今朝は、昨夜の雪がうっすらと残っていました。このところの陽気に誘われて顔を出したツクシ(土筆)もびっくりです。 小雨が降り、この雪もすぐに溶けてしまいました。 ツクシの頭の部分には六角形のタイルのようなものが並んでいます。ツクシはスギナ(杉菜)の胞子茎。胞子をつくり、子孫を殖やすのがその役割です。ツクシが成長すると、その隙間が広がってきて、ここから胞子が飛び出して風に乗ります。でも、きょうみたいな...

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続・仏の座の作戦

このところのポカポカ陽気が一転して、きょうは雪やみぞれが降りました。本格的な春はすぐにはやって来ないようです。さて、3月5日付の投稿で、昆虫に対するホトケノザ(仏の座)の作戦を紹介しました。今回は、その続編です。お時間に余裕がありましたら、3月5日付の記事も合わせてお読みください。きょうの写真は地味です^^ ホトケノザの花のつぼみです。頭がふっくらとして濃い赤紫色になっているつぼみはこれから開花します。...

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黄蓮、春の競演

篠山市本郷の松隣寺に2週間ぶりに行ってみました。2週間前よりもセリバオウレン(芹葉黄蓮)の花の数が増え、花茎も伸びているようです。そして、2週間前には見られなかったバイカオウレン(梅花黄蓮)が咲き始めていました。春の妖精、オウレンの競演です。 セリバオウレンとバイカオウレンを同じ場所で同時に見ることができました。 バイカオウレンは牧野富太郎博士が大好きだったという花。木陰にひっそりと咲く、清楚な花...

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春色2019

今年は季節の進行が早く、もうウメの花の盛りが過ぎたようです。枝垂れウメの花も花びらが散ったものが多いのですが、まだ立派に咲いている花も蕾もあります。 考えてみると「枝垂れ」というのはヘンな性質です。枝が垂れてしまうと、光をめぐる競争で他の植物に負けてしまいます。動物にも簡単に食べられてしまうし、生存に不利であることは明白です。 植物ホルモン異常の突然変異です。支柱を立てるなど、人間の支えがないと育...

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花菜のエール

姫路市の夢前町(ゆめさきちょう)の県道67号を北上すると、山陽自動車道の下をくぐってすぐ右側に黄色いハナナの畑が広がります。その面積8haだそうです。とってもいい香りに包まれています。 毎年2月下旬に行われる姫路城マラソンに合わせて咲かせておられるそうです。この景色の中を走れば、ランナーの皆さんも元気づけられることでしょう。 聞くところによると、京都伏見寒咲花菜という早咲きの品種だそうです。10月上旬に...

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春、黄金色の花

早春の代表的な花、サンシュユ(山茱萸)の黄色い花が咲いています。葉っぱよりも花が先にたくさん咲きますので、木全体が黄色に包まれます。 花びら4枚、雌しべは1本、雄しべは4本。花びらは反り返っています。1つひとつの花は小さいのですが、30個くらいの花がひとかたまりになっています。 「山茱萸」とは書くのも読むのも難しいです。シュユ(茱萸)というのはグミのこと。秋にグミのような赤い果実がなります。だから、...

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馬酔木の戦略

アセビ(馬酔木)の花が満開です。 アセビの花の色は白色が基本です。自生しているものにも稀にピンクのものがあるようですが、これは園芸品種です。自生しているアセビより花の数も多くて豪華です。 可愛い花をいっぱいつけるアセビですが、有毒植物です。ウマが食べると酔ったように足をふらつかせるので馬酔木と書くと言います。でも、自然状態でウマがアセビを食べるとは思えません。シカも食べませんから。 アセビの落ち葉...

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紅葉葉風をつつく河原鶸

きのうのモミジバフウ(紅葉葉風)の続きです。ウニのようなモミジバフウの果実の写真を撮っていると、キリリリと賑やかな声が聞こえてきました。やってきたのは、M字形の尾をしたカワラヒワ(河原鶸)です。その数、10羽くらい。 たまたま2羽が近くにいるところを撮りましたが、多くはバラバラです。モミジバフウの樹上のそれぞれ別の場所で果実をつついています。 太い枝に止まって揺れるモミジバフウの果実をつつくもの、果...

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ウニみたいな果実

モミジ・バフウと聞いて、「よく来たなぁ」の先代・鈴々舎馬風師匠を連想してしまいました。切るなら「モミジバ・フウ」と言わないと誤解を招きます。生物の種名はカタカナで書くことになっていますが、これなんかは漢字のほうがわかりやすいです。葉っぱの形がモミジに似ているから紅葉葉風。アメリカ原産のフウ属の落葉高木です。 いまは葉っぱを落とし、糸で吊したような果実が目立ちます。地面に落ちている果実もありますが、...

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仏の座の作戦

田畑の畦や道端にホトケノザ(仏の座)の花が目立つようになりました。 近づいてアップで見れば、なかなか可愛い花です。他のシソ科の花とおなじように筒状の唇形花で、花びらは上唇と下唇に分かれます。 下唇は3裂し、中央の裂片はさらに2つに分かれます。ここが昆虫たちの足場になります。下唇には、濃い紫色の斑点があります。蜜標(ハニーガイド)です。蜜標の斑点の大きさや形には花によって微妙に違いがあるようです。し...

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雨の節分草

節分から1か月経ちましたが、セツブンソウです。 丹波市青垣町では3か所で「節分草まつり」「セツブン草祭り」「せつぶん草まつり」が行われています。それぞれ表記が微妙に違うのが面白いですね。なぜか「草」が漢字なのが共通です^^ このうち最も早いのが東芦田の「節分草まつり」で、2月上旬です。二番目が遠坂の「セツブン草祭り」で2月下旬。最も遅いのが森の「せつぶん草まつり」で3月上旬。今年はきのう行われました...

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鴨の水浴び

ヒドリガモです。よく見かけるメジャーなカモです。頭が赤いのでヒドリ(緋鳥)。それにわざわざカモまでつけてヒドリガモ(緋鳥鴨)何だか「馬から落ちて落馬した」的な、重複しているような命名です。 潜水はせず、こうやって水面に浮かぶ植物の葉っぱや種を食べています。 突然、1羽が水浴びを始めました。からだをねじって、上側になったほうの翼で水面を激しく叩きます。水しぶきが上がります。かなり激しい運動です。から...

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落椿

ヤブツバキの花はとっても傷みやすく汚れやすいので、撮るのが難しいです。離れて撮るか、思いっきり近づいて撮るか、どちらかだなぁと思います。 思いっきり近づいてみると、たくさんの雄しべが筒状になっていて綺麗です。雄しべの下半分はくっついていて、これが花びらともくっついています。離弁花のグループに入っていますが、5枚の花びらもすべて基部でくっついています。 だから、落ちるときには、すべての雄しべとすべて...

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銀色ふわふわ

風は冷たいのですが、春の陽射しです。小佐川の中州や川岸にネコヤナギの花が春の表情を見せはじめました。触ると気持ちがいいふわふわ感。ネコの尻尾と同じ感触です。 植物にとって、日光と水が得られることは、生きていく上で重要なポイントです。でも、日当たりがいいと乾燥してしまうし、湿り気があるところは日当たりが悪いのがふつうです。ところが、日当たりが良くて水が豊富なところがあるんですね。それが川の中州や川岸...

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プロフィール

丹馬

Author:丹馬
落語と授業の合い間に生き物を中心とした写真を撮っています。
兵庫県の北部・中部がおもなフィールドです。

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